琴子に追及される

「えっ? 琴子、今なんて…?」


「武光君が持っていた『巨乳美女大集合! ~巨乳美女のお胸にご参パイ 真夏の白濁祭り!~』は私が責任をもって処分しました♡ まさか辞書の裏に隠してあるとはね。真面目な本の裏に隠してあるからバレないとでも思ったのかな?」


 バレてた。琴子に僕がエロ本を隠しているのがバレてた。絶対に見つからない所に隠したと思っていたのに。現に母親には今までバレた事は無かったのだ。


「彼氏の部屋をチェックするのは彼女の特権であり義務です。そしてその時に彼氏が破廉恥な本を持っていようものなら…処分しても構わないよね?」


 琴子は僕の腕を引っ張るとベットの方向に押し倒した。足がまだしびれていて、まともに動けない僕はいとも簡単に彼女に押し倒される。


「うわっ!」


「ねぇ武光君、なんであんな本隠してたの? あなたには私がいるじゃない?」


 ベットの上に倒れた僕に琴子は馬乗りになった。そしていつの間にか彼女の目からはハイライトが消えていた。彼女は低い声を出して僕を問い詰める。


「琴子、落ち着いて…」


「武光君は私じゃ不満? 私じゃなくて他の女の裸で興奮してたんだ? へぇ…」


 不味い…ここで言葉を間違えると琴子の逆鱗に触れてしまう事になる。そうなると僕は…その先は想像したくない。琴子は怒ると物凄く怖いのだ。


「あ、あれはね。実はもう捨てようと思ってたんだ。僕には琴子がいるからね。でも忘れてたんだ。僕の代わりに捨ててくれてありがとう琴子! 流石僕の彼女!」


 とりあえず琴子の怒りを治める方向に進む。僕のその返答により琴子の目にハイライトが一旦戻った。助かった…?


「そうだったの。良かった。武光君が私以外の女で興奮してたのかと思っちゃった」


「僕が琴子以外の女の子に興奮するわけないじゃないか。僕は琴子一筋だからね。アッハッハ」


 ふぅ…危なかった。もうエロ本は買わないようにしよう。スマホの中に入っている電子書籍も一応削除しとくか。見つかるとヤバそうだし。


「琴子、疑問は解決したことだし、そろそろ僕の上からどいて貰えないかな?」


「まだだよ。あともう一つ」


 えっ、まだあるの? 僕まだなんかやらかしてたっけ?


 彼女は僕の顔の前までその綺麗な顔を近づけて来ると、僕の目を見ながら再びその目から光を消した。怖っ…。目の前でそれをやられると怖さが倍増だ。


 そして右手で自分の首に着けているチョーカーを撫でながら、左手で僕の首筋を撫でる。


「私がプレゼントしたチョーカー…なんでつけてないの? あれは私たちがお互いに愛し合っている証独占しあう契約の証なのに…」


 そうか、琴子は僕が学校にチョーカーを付けていかなかったのが不満だったんだな。


「昨日から聞こうと思っていたけど、昨日は色々ゴタゴタドブネズミの件があったから聞けなかった。だから今日は武光君の家でしようと思ってたの」


 もしかすると琴子はここまで計算して今日試験勉強を僕の部屋でやろうと言ってきたのだろうか? 僕の部屋で2人っきりなら誰にも邪魔されずにじっくりと問い詰める事ができる。琴子…恐ろしい子。


「琴子落ち着いて、僕がチョーカーを学校に付けていかなかったのは、校則違反にならないかどうか不安だったからなんだ。だってせっかくの琴子からのプレゼントを教師に校則違反だからって没収されるのは嫌じゃないか?」


 僕たちの学校は校則が緩い方ではあるが…それでも過剰なオシャレをしていたりすると教師から注意を受けたりする事がある。チョーカーが過剰なオシャレにあたらないかどうか不安だったのだ。


「そう…。でも昨日今日と私が着けていても何も言われなかったから大丈夫じゃない?」


「うん、そうみたいだね。だから僕も明日からはつけていくことにするよ。ごめんね琴子、不安にさせちゃったみたいだね」


 僕は彼女をなだめるために頭をヨシヨシと撫でる。しかし琴子の目に光は戻らなかった。これは…万事休すか?


「武光君には彼女を不安にさせた罪があります。だから…お仕置きだね♡」


「むぐっ!?」


 彼女は妖艶な笑みを浮かべるとそのまま僕にキスをしてきた。そしていつもの如く舌を入れて来る。あっあっあっ、これはヤバい奴。また僕の脳が溶かされる。しかも琴子が馬乗りになっているから逃げられない。


「ちゅぱ♡ 武光君には私がどれだけあなたを愛しているのか分かってもらわないと。 ちゅ♡」


「こ、琴子待って、こういうのは…」


「武光君は『学校ではやめておこう』って言ったよね? ここは学校じゃないよ。だから…してもOKだよね?」


「ぷはっ…。それは…。ハァハァ…」


 琴子は一旦口を離すと僕の耳元に口を寄せ、まるで淫魔のようなウィスパーボイスでこう囁いた。


「私ね…今日はエッチな下着付けて来てるの♡ これで…ようやく一つになれるね♡」


「んん!? んんー!?」


 そして再び僕に舌を入れて来る。確かに僕は学校では止めておこうと言ったが…。不味い不味いこれは、ここで止めておかないと歯止めが効かなくなる。


 あっあっあっあっ、いつもより激しい。僕と彼女の舌が濃密に絡み合う。これは彼女は本気で僕を落としに来ている。彼女にデロデロに溶かされて最後まで行ってしまう。気持ち良い…でもそれは…ダメだ。


「ちゅぱ♡ れろっ♡ 落ちちゃえ♡ 身も心も私で染まっちゃえ♡ 私以外の事が考えられなくなるように♡ 私もあなたの全てを愛してあげるから♡」


 あっあっあっあっあっ、もう僕はダメかもしれない。彼女に溶かされて、落とされて、ダメ人間になってしまう。でも僕は…無責任な事は…。


「武光ー? 帰ってるのー? あら、琴子ちゃんも来てるの?」


 と、僕が琴子に落とされかけていたその時、天からの助けか母親の声が下の階から聞こえて来た。どうやら仕事から帰って来たらしい。チラリと時計を見るともう19時近くだった。


 溶かされかけていた僕の脳はその声でなんとか復活し、琴子を引きはがしにかかる。


「ぷはっ、琴子、良く聞いてね。僕は君が好きだ。とても大切に思っている。だからこそ責任感の無い行動はとりたくないんだよ。君を傷つける事になるからね。将来的にはいずれ…と思ってるけど、今の僕たちは高校生、キスまでで止めておこう?」


 僕は彼女の目を見て真剣な表情で諭すようにそう言った。彼女がこれで分かってくれると良いのだが。


「………」


 彼女は無言で僕の目を見つめる。そして…徐々にだが、彼女の目に光が戻って来た。


「武光君…私の事をそこまで想ってくれてたんだ…。うん、私の方もごめんね。ちょっと考え無しな行動しちゃった。自分の感情を優先しすぎちゃったみたい…」


 どうやら彼女は理解してくれたようだった。まぁ今回の件は彼女を不安にさせてしまった僕にも責任がある。彼女が不安にならないように言動には気を付けないと。


「でもキスまでならいいんだよね♡」


「えっ? むぐっ!?」


 僕は母親が2階に上がってくるまでそのまま彼女にキスをされ続けた。



○○〇


なんとか彼女の猛攻を耐えきります。


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