琴子と一緒に試験勉強

「ねぇ武光君、今日の放課後に武光君の部屋で一緒に勉強会しない?」


「うん、いいよ」


 僕はその誘いを秒で承諾した。今週はテスト週間で、来週はテスト本番だ。なので僕も今日は家に帰ったらすぐに勉強するつもりだった。琴子が誘ってくれたのなら都合が良い。1人で勉強するよりも、2人で勉強した方がお互いに分からない所を教え合ったりできて効率がいいだろう。


 あっ、でも僕の部屋掃除してたっけ? 散らかっている状態の部屋に彼女をあげるのは流石に恥ずかしい。…琴子には少し家の前で待っていてもらうか。それか別の場所で勉強するとか。


 僕がそんな事を考えていると彼女は僕の考えを読み取ったのか、笑顔でこう言葉を放った。


「武光君の部屋は今朝私が訪ねた時に掃除しておいたから大丈夫だよ♡」


「えっ? 琴子僕の部屋掃除してくれてたの?」


 琴子は僕と付き合ってからほぼ毎日、学校がある日は僕と一緒に登校するために家を訪ねて来てくれている。その時に僕がまだ寝ている時もあったので、何度か僕を起こすために部屋に入って来ていたのは記憶しているのだが…。


 どうやら僕が寝ている間に彼女は部屋を掃除してくれていたらしい。


「ごめん、琴子。気が付かなかった。でも別にそこまでしなくてもいいのに」


 彼女には起こして貰ったり、お弁当を作って貰ったり、更には掃除まで…非常に申し訳ない気持ちになる。うむむ、このままでは僕はどんどんダメ人間になっていく気がするな。


「ううん、別にそんなに手間でもないし、それに色々発見できたし♡」


「えっ、発見?」


「おっと…何でもない。とりあえず武光君の部屋は掃除しているから大丈夫だよ」


 彼女がそう言うのなら大丈夫かな。僕は琴子と一緒に自分の部屋でテスト勉強をする事にした。



○○〇


「どうぞ」


「お邪魔します♪」


 僕は自分の部屋に琴子を招き入れた。朝、彼女が僕を起こすために勝手に入って来た事はあるものの、正式に彼女を部屋に招き入れるのは今回が初めての事である。


「琴子は座ってて、お茶とお菓子持って来るから」


 僕はお客様である彼女をもてなすために台所へ向かった。勉強するための糖分を補給する目的もある。


「あれ? ティーパックここに無かったっけ?」


 僕は紅茶のティーパックを探して台所の戸棚を開けた。しかしそこには何も入っていなかった。前はここにしまってあったのにな。どこに移動したんだろう?


「ティーパックならその隣の戸棚だよ」


「ああ、こっちか」


 気が付くといつの間にか琴子が僕の後ろに立っていた。彼女の言葉通りに隣の戸棚を開けると中には紅茶のティーパックがしまってあった。よし、これでお茶が入れれるぞ。


「お湯はもう沸かしてあるよ♪」


「ありがとう琴子」


 琴子は気が利くなぁ…。今日の彼女はお客様なんだから座っていればいいのに。僕はコップにティーパックを入れると彼女の用意した湯を注いだ。紅茶の香ばしい香りが辺りに広がる。


 …ん? 待てよ。なんか自然な感じだったんで流しちゃったけど、何で琴子が僕の家のティーパックの場所を知っているんだろう?


「琴子よくティーパックの場所分かったね?」


「以前来た時にお義母様に教えて貰ったの♪ お義母様とは大分仲良くなれたよ」


「へぇ、そうなんだ」


 琴子がうちの母親と仲が良いのは知っていたけど、そこまで母親から聞いていたのか。もしかすると彼女は僕よりもうちの事情に詳しいかもしれない。


 僕はお盆に紅茶が入ったカップとお菓子を乗せると琴子と一緒に2階に戻った。


「さぁ、勉強を始めようか!」


 お茶とお菓子が揃ったところで、本日の目的である勉強を開始する。


 僕はとりあえず最大の難関になると思われる英語から勉強を始める事にした。英語って日本語とは全然文法が違うから分かりにくいんだよね。ちなみに僕の学力は普通ぐらいである。良くも悪くも平均~平均ちょい上ぐらいだ。


 あまり勉強は好きではないのだが、最低でも赤点回避できるぐらいの点数は取っておかないと夏休みに補習に行かなければならなくなる。そうなるとせっかくの夏休みなのに琴子と過ごす時間が減ってしまうのだ。それは絶対に避けなければならない。


 そういえば…琴子の学力ってどれくらいなのだろうか? 彼女の学力が高いと色々教えて貰えてありがたいのだが。


「琴子っていつも定期試験どれくらいの順位なの?」


「私? 私もそんなによくはないかな。武光君と同じくらいだと思うよ」


 2人して平均ぐらいか。まぁお互いにお互いの分からない所を教えあえば…赤点は避けられるだろう。ヨシ、頑張ろう。僕たちの快適な夏休みライフのために。僕はそう意気込んだ。



○○〇



 …勉強を始めて30分ほど経っただろうか。尿意を催した僕はトイレに行く事にした。


「ごめん、ちょっとトイレ行ってくるね」


「行ってらっしゃい」


 彼女は笑顔で僕を送り出した。


 トイレで用を足した後、僕は自分の部屋まで戻って来る。そして僕の部屋の扉の前にまで来た時、部屋の中から何か妙な音がしているのに気が付いた。何かがゴロゴロと転がる音である。


 不審に思った僕は急いで扉を開けた。そうすると中には…。


「ハァハァ///////// 武光君の濃厚な匂い…///////」ゴロゴロゴロゴロ~


 僕のベットの上で恍惚と言った表情をしながら全力で転がっている琴子の姿があった。


「琴子、何やってんの?」


「へっ!?///////////」


 琴子は僕が声をかけると固まった。



○○〇


琴子はヤンデレ…なだけではなく、普通に可愛い所もある女の子として書いています。


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