琴子と密室で
横浜を放置して化学実験室から出た僕と琴子、結構時間くっちゃったな。チャイムが鳴る前に教室に戻れるだろうか? 全く…横浜のせいで次の授業に遅れそうだよ。
僕が教室に戻ろうと早足で廊下を歩いていると当然琴子に腕を引っ張られた。
「琴子? どうしたの?」
「武光君、ちょっとこっちに来て…」
琴子は僕を化学実験室の隣の科学準備室の中に引っ張り込む。ちょ…琴子意外と力強い。2人で科学準備室の中に入ると琴子は教室のドアをガチャリと閉めた。…なんか琴子の様子がおかしいな?
「一体どうしたのさ?」
「武光君、ごめんなさい。でも私、我慢できなくて…」
「何が?」
琴子はそう言うと手で両腕をこすり合わせながら気持ち悪そうに身体を震わせる。
「あのゴキブリが気持ち悪くて身体がゾワゾワするのっ。だから…」
彼女はそのままポスリと僕に倒れかけ、身体を僕に預ける。彼女が倒れてきた瞬間に女性特有の甘くていい香りが僕の鼻孔から脳に入り、脳を震わせる。そして彼女は潤んだ瞳で僕を見上げて来た。
「武光君で上書きして…♡」
僕は彼女のその艶めかしさを感じる表情に思わずドキリとしてしまった。ええっと…? こういう時ってどうすればいいんだっけ? あ、でも急がないと次の授業が始まっちゃう…。僕の脳は完全に混乱状態に陥っていた。
「あぁ…//// 武光君の匂い…落ち着く/////」
彼女はそのまま僕の胸に顔を押し付けると深呼吸をし始めた。僕の匂いって落ち着くの? 自分の匂いって意識したことないけど、どんな匂いなんだろう。僕の鼻には洗剤と柔軟剤の香りしかしない。
恍惚…と言った表情で僕の匂いを嗅ぐ琴子。それで彼女の気分がマシになるのなら、僕の匂いなんていくらでも嗅げばいい。幸いにもここには僕たち以外は誰もいない。
琴子は横浜の事を何とも思っていないと思っていたが、なんだかんだ精神的な苦痛は受けていたらしい。
「…武光君、もっと。これじゃあまだまだ足りないよ…」
もっとと言われても何をすればいいのだろうか? 僕の頭は相変わらず半分フリーズしたみたいになっていた。
「私たち付き合ってるし、将来結婚するし…いいよね?」
「えっ?」
「んっ♡」
「むぐっ?」
と思ったのもつかの間、僕は彼女に唇を奪われていた。彼女に唇にキスをされるのはこれで2回目である。あぁ…これはダメな奴だ。彼女の唇の柔らかさに僕の脳は喜びで震える。
ここは学校で…まだ授業が残ってて…これはするべきではない。僕の頭にそんな言葉が流れる。理性はまだ残っていた。ここは…彼女に負けてはいけない。「お付き合いは節度を持って」が僕の信条である。
僕は琴子を引き離そうとした。しかし、彼女は思いがけない行動に出る。
「んんっ?」
「んっ♡ はぁ♡ ちゅぱ♡ んん♡」
なんと琴子は僕の口の中に舌を入れて来たのだ。ディープキス、ベロチューという奴である。自分でも未経験の感覚に僕の脳は崩壊寸前だった。
なんだこれ…? 凄く気持ちいい…。彼女の舌と僕の舌が絡み合うたびに、何とも言えない気持ちよさが僕の脳を支配する。先ほどまでの決意はどこへやら。僕の理性という防壁は彼女にあっけなく崩壊させられそうになっていた。
彼女の舌から出る涎がまるで濃密で甘美な酸のように理性の壁を溶かし、また僕の身体の中に入ったそれは媚薬のように僕の身体を熱くした。
これは毒だ。男をダメにする毒である。僕は彼女に捕食されそうになっていた。
「ああ♡ 武光君の濃密な成分が補充できてる♡ 嬉しい♡ はむ♡ ちゅぱ♡」
頭ではダメだと理解できていても身体の方が動かない。僕と琴子はすでにディープキスまでしてしまった。このまま行けば僕たちは口では言えない破廉恥な事をしてしまうかもしれない。
確かに僕は琴子が好きだ。だからこそ、大事な彼女に責任のとれない行動はしたくはなかった。僕たちはまだ高校生、そういうのは大人になってお金を自分で稼げるようになってからである。
キーンコーンカーンコーン
そこで天の助けか、4限目の始まりを告げるチャイムが鳴った。僕はそのチャイムのおかげでかなしばりが解けたように身体の自由を取り戻す。僕は急いで琴子を引き離した。2人の間に涎でできた白い糸が垂れる。
「ぷはっ…。こ、琴子、こういうのは学校ではやらないようにしよう。学生の間は節度あるお付き合いをね。それにほら、もう授業も始まっちゃうし」
琴子はしばらくの間うっとりとした表情をしていたが、やがて我を取り戻したのか「ハッ」とした顔をする。
「ご、ごめんなさい。私…どうしてもあの気持ち悪さを払拭したくて…」
「それは分かる。あいつ気持ち悪かったしさ。でも学校ではやめておこう」
僕は琴子にそう言い聞かせると授業に出るために科学準備室を後にした。意思を強く持たないと琴子に溶かされるな…。気を付けよう。
○○〇
あまり過激なエロはやりません。banされるといけないので。
今後が気になるという方は☆での評価や作品のフォローをお願いします
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます