ペンギンショーを彼女と見る
水族館にデート来ていた僕たちは琴子が好きなペンギンのショーを見る事にした。
「わぁ~、見て見て武光君、ペンギン可愛い~♪」
隣に座ってショーを見ている琴子はペンギンが飼育員のお姉さんに言われて芸をしている様子を見てご満悦の様だった。
僕からすると子供のようにはしゃいでいる琴子の方が可愛かったが、それを言うとまた抱き着き攻撃を食らいそうだったので心の奥に留めておく事にした。あの攻撃…童貞には刺激が強すぎるんだよな。
彼氏なんだから彼女の胸の感触ぐらい楽しめばいいじゃん…と思うかもしれないが、一度気を許してしまうと彼女の魅力に溺れてそのままズルズルとダメ人間になってしまいそうな気がしたので僕はなんとか理性で踏みとどまっていた。
琴子の事は好きだが、やはりお付き合いにはある程度の節度を…というのが僕の考えだ。抱き着くぐらいならいいけど、エスカレートしてそれより先…となると抵抗がある。
例えば…2人っきりの時に琴子がエスカレートして服を脱いだ状態で僕に抱き着いてくるとしよう。その時僕は理性が耐えられないかもしれない。だからこそある程度の所で歯止めをかけておくのだ。それ以上行為がエスカレートしないように。
琴子は僕の大事な彼女である。それ故に…責任のとれない行動はするべきではないと思った。僕達はまだ高校生なのだ。
「ねぇ武光君、何考えてるの?」
考え事をしていた僕に琴子が笑顔で話しかけて来た。相変わらず彼女は鋭い、僕が何かしら考えているとすぐにそれを察知してくる。何故わかるのだろうか?
女性は男性に比べて第6感が優れているという話を聞くが、もしかすると琴子は通常の女性よりもその第6感が優れているのかもしれない。
「分かるよ。だって武光君の事だもん♡」
また考えを読まれた。ううん…彼女の前では隠し事は出来ないかもしれないな。それとも僕が表情に出やすいタイプなのか? …今度康太あたりに聞いてみよう。
「琴子の事を考えてた。やっぱり琴子は可愛いなって」
彼女の事を考えていたのは間違いない。嘘はついていない。
「もうっ♡ 武光君ったら♪ 人を褒めるのが上手いんだから」
彼女は両手を頬に当て、照れくさそうに顔を赤く染めながら首を振る。ホッ…なんとか誤魔化せたか?
琴子が照れくさそうに首を振っていた時、彼女の近くにいたペンギンが思いっきりプールにダイブし、その水しぶきがこちらに飛んできた。そして不運にも琴子にその水しぶきがかかってしまう。
「きゃ!?」
両手を頬に当てて首を振っていた彼女はその水しぶきをガードできずに思いっきり被ってしまった。するとどうだろう。白いワンピースを着ていた彼女の服が濡れて透け、その薄水色の下着があらわになっていた。
そして濡れたことにより服が身体に貼りつき、彼女の身体のラインが良く目視できるようになっていた。今までは服の上からなので漠然としか分からなかったけど、彼女…やはり物凄くスタイルが良い。僕はそれを見て思わず動揺してしまう。
ってそんな事を思っている場合か!? 僕は慌てて鞄の中からタオルを出して彼女に被せた。
「琴子、これ使って」
「ありがとう武光君。うう~ビショビショ…」
琴子は僕からタオルを受け取ると、濡れた部分を拭いていく。
ふぅ…ショーの最前列には幸運にも僕たち以外に客はいなかったため、琴子の下着が他の人に見られたという事はなさそうだ。クソッ、ペンギンめ。余計な心労かけさせやがって。
僕は恨みを込めた目線でペンギンを睨んだが、ペンギンにそのような事は分かるはずもなく、彼らは能天気な顔をして大口を開け、ショーのお姉さんから餌を受け取っていた。
「でも武光君がタオル持ってて助かったよ。流石武光君、ますます好きになっちゃう♡」
「もしもの時のために持っていたんだけど、役に立ったようで良かったよ」
本当はあのタオルは汗を拭く用に持って来ておいたタオルなのだが…まぁ役に立ったので良しとしよう。しかもさっきちょっと汗を拭くのに使っちゃったし…。でもあれしかタオル持ってなかったから仕方ないよね?
琴子は服が渇くとタオルを自分の鞄にしまった。今日は暑いので服が渇くのも早かったようだ。
「あれ、タオルは?」
「濡れちゃったし、洗濯して返すよ」
「別にいいのに」
「ダメ! 私が使ったんだから綺麗にした状態で返すのが礼儀です」
琴子はそう言って譲ろうとしない。僕はそういう事なら…とそのタオルをしばらく琴子に預けておく事にした。
「(ハァハァ…//// 武光君の汗がしみ込んだタオル…偶然とはいえ手に入っちゃった…//// さっきタオルを被せられた時の濃厚な匂い…ヤバかった♡/////)」
「???」
琴子の顔が少し赤い様だが、どうかしたのだろうか? 熱中症かな? このショーが終わったら水分を補給しに水族館の食堂に向かうか。ちょうどお昼の時間だしな。
○○〇
琴子は匂いフェチ。
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