デートの約束
僕たちが横浜を撃退した日の昼休み、僕と琴子は屋上で昼食をとることにした。今日も琴子は手作りの弁当を僕に作って来てくれていたのだが、流石に人に見られながら「あーん」をするのは恥ずかしいので場所を移そうと提案したのだ。琴子は少し残念そうにしながらも2人きりで食事をする事に承諾してくれた。
この時期の屋上は夏の日差しがキツイため、ここでご飯を食べる人は誰もいない。なので2人っきりになるには絶好の場所だった。僕たちは日陰になっている場所を探してそこに座る。
…琴子曰はく、僕に寄ってくる
「そんなことないよ。武光君は凄く魅力的な人だから私心配で…」
「はは、そう言ってくれて嬉しいよ。じゃあ僕も琴子の期待に応えて魅力的な人にならないとな」
「これ以上武光君が魅力的になると本当に虫が寄ってきちゃうからダメ!!! 武光君は今のままでいいの!」
「魅力的な人」なんて言われたのは人生で初めてだった。今まで僕の周りの評価は良くてせいぜい「並」程度だったから。
だからそんな彼女の期待に応えるためにも僕も魅力的な人になれるよう努力しないと…と思ったのだが、それも彼女に止められてしまった。
「僕としてはむしろ琴子の方に虫が寄ってこないか心配なんだけど…」
彼女は凄く可愛い。今日だって横浜にアタックされていたし、クラスの何人かの男子は彼女の事を熱のこもった目線で見ているのを僕は知っていた。
「私をそんなアバズレと一緒にしないで。私は絶対に武光君以外には惚れないよ! 他の男子なんて気持ちの悪いゴキブリ程度にしか見えないもの。武光君はゴキブリに口説かれて嬉しい?」
「いや、それは…」
「でしょ? それに…私が口説かれてたら、今日みたいに武光君が守ってくれるんだよね?」
「それは当然だよ。琴子は僕の彼女なんだから!」
「なら、安心だね♡ さぁ、お弁当食べよう! 今日も腕によりをかけて作って来たの」
「ありがとう。琴子の料理は美味しいから楽しみだな」
僕は彼女の作って来た料理を楽しんだ。
○○〇
昼食後、僕達は昼休みが終わるまで屋上でのんびりと過ごすことにした。少し暑いが、まぁしょうがない。
「ふぁ~あ」
「武光君」
周りには誰もおらず、晴天にセミの鳴き声だけが響いている。僕がのどかさにあくびを噛み殺していると琴子が自分のふとももの辺りを叩いていた。何だろう?
「ひざまくら! してあげる」
「えっ?」
ひざまくらって…あの? 女子のひざやふとももの上に頭を置いて昼寝するってあの伝説の? 無茶苦茶気持ち良いと噂のあのひざまくらのことか?
「いいの? 琴子が疲れちゃうんじゃない?」
「武光君ならいつでも大歓迎だよ♡」
彼女が「早く早く!」とふとももの辺りを叩くので僕はそれに従う事にした。緊張しながらもゆっくりと彼女のふとももの上に頭を降ろしていく。
うわぁ…なにこれ。気持ち良い…。なんというか柔らかさが丁度良い。硬すぎず、柔らかすぎず…もしここにベッドがあったなら僕は2秒で夢の世界に旅立っていただろう。
「気持ち良い?」
「うん、とっても。琴子は重くないかい?」
「ううん、大丈夫だよ」
僕は下から琴子の顔を見上げる形になる。改めて見ると…やっぱり美人だなぁ。長いまつげ、白い肌、瑞々しい唇。どれをとっても一級品である。現役のアイドルとかと比べてもそん色がない。
「どうしたの? 私の顔に何かついてる?」
「いや、琴子は可愛いなと思って」
「もう//// そんな事言ったら…明日のお弁当のおかずが1品増えるよ////」
どうやら喜んでくれているらしい。でも僕もお弁当を貰ってばかりだと彼女に申し訳ないな。何かしら彼女に返せればいいだけど…。そうだ!
「ねぇ琴子、今週の土曜日か日曜日暇?」
「暇だよ。むしろ武光君のために用事があっても予定を開けるよ」
「そこまではしなくても良いけど…。その…琴子さえよかったらさ、デートしない?」
「デート?」
「うん、デート。またの名を逢い引き」
僕が琴子に返せる事…それはデートで彼女にプレゼントしたり、彼女にご飯をごちそうしたりすれば色々お返しできるのではないかと僕は考えた。
「いくいく♡ 絶対行く! 可愛い服着て行くから期待しててね!」
「じゃあ土曜日の10時に駅前で待ち合わせ。大丈夫?」
僕が待ち合わせに駅前をチョイスしたのは、ここら辺は田舎なためあまり遊べる場所がなく、ここらの高校生はみんなデートをする際は比較的発展している隣町の方へ向かうのだ。
「わぁ楽しみー♡ 全然大丈夫だよー♪」
「そう言ってくれて嬉しいよ」
こうして僕たちは次の土曜日にデートすることになった。
○○〇
とりあえずここまでです。後は人気次第。
この後の展開を少し書いておくと2人がイチャイチャしながらざまぁするという展開となっております。
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