第4話 2階層 ゴブリン
おれとヒメシュウレイは扉に入った。
すると、その扉はすぐに閉じた。
【2階層】と頭の中に文字が浮かんだ。
ん?
いまのはなんだ?
【ワープ獲得】
え?
今のはなに?
「心、どうしましたか?」
「い、いや……あたまの中に……」
これはもしかして、おれの特技なのか?
2階層に入ったってことか?
そして、ワープってことは?
「ヒメシュウレイ、試したいことがあるんだが……」
「はい」
おれは壁に向かって手をかざし、ワープと唱えた。
すると、壁に扉のような暗い穴があいた。
「心、これはなんですか?」
「おれにもわからないが入ってみよう」
おれとヒメシュウレイは恐る恐る暗い穴に入っていった。
ワープを通ってついた場所は……おれたちの家の中だった。
「え? これはいったいどういうことなのですか?」
「いや、おれにもわからないがこの家から洞窟にワープできるようだ」
「そんなことができるなんてすごいです」
「そうだな、このことはしばらくふたりだけの秘密にしておこう」
「はい、わかりました」
どうやら、先ほどの魔物を倒した褒美でワープを獲得したらしい。
そして、おれの頭の中に文字が浮かぶらしい。
でも、この早い段階でワープが使えるようになったのはありがたいな。
どんどん魔物を倒していろいろなものを獲得したいな。
「ヒメシュウレイ、これでいつでも洞窟に行ける」
「はい」
「次は2階層のようだ」
「そうなのですか?」
「ああ、魔物の強さが変わるはずだ」
「はい」
「気を引き締めていこう」
「はい、わかりました」
おれとヒメシュウレイはワープを使って洞窟にいった。
「ワープ!」
黒い穴の扉が浮かんだ。
「よし、行こう」
「はい」
おれとヒメシュウレイは扉の中に入った。
すると、先ほどの2階層についた。
やはり、思った通りだな。
おれとヒメシュウレイは進んだ。
すると、突然魔物が現れた。
緑の人!
これはゴブリンだ。
「ヒメシュウレイ、ゴブリンだ」
「はい」
「手ごわいから気をつけるんだ」
「はい、わかりました」
ヒメシュウレイがゴブリンに短剣で襲いかかった。
ザクッ!
「ヒメやったな」
「はい、やりました」
やっつけたあとにはキラキラと宝石が落ちていた。
これはなんていう宝石なんだろう。
「心、あとで街にいって鑑定してもらいましょう」
「ああ」
そうか、鑑定してくれるお店があるんだな。
おれたちは進んだ。
ゴブリンを何度も倒し、宝石を拾い集めた。
ようやくボス戦の部屋にやってきた。
「ヒメ、行くぞ」
「はい」
おれとヒメはボス戦の部屋の扉を開けて、中に入った。
中に入ると扉は閉まり消えて、外には出られない感じだった。
そして、そこにはゴブリンが6匹に大きなボスのゴブリンが1匹横たわっていた。
「ヒメ、スライム戦と同じように先に普通のゴブリンを倒そう」
「はい、そうですね」
「よし、行くぞ」
おれとヒメは普通のゴブリンを倒し始めた。
その間、大きなゴブリンは横たわったまま起き上がろうとはしなかった。
起き上がらないのはありがたい。
今のうちに普通のゴブリンをたおしちゃおう。
普通のゴブリンを1匹残らず倒した。
おれも剣の扱いに慣れてきた。
普通のゴブリンを全部倒すと、ようやく大きなゴブリンが起き上がった。
うぉー!!
大きなゴブリンの叫びで地面が揺れた。
「きゃぁ!」
「おぅ!」
叫んだだけなのにこの揺れとはこれは簡単には倒せそうにないな。
「心、わたしが行きます」
ヒメの戦う様子を見させてもらおうかな。
「ああ、気をつけろよ」
「はい」
ヒメは大きなゴブリンに向かった。
ヒメの動きもだいぶ良くなっていた。
しかし、ゴブリンが腕を一振りするだけですごい風圧で飛ばされそうだ。
きゃぁ!
ヒメがゴブリンの腕にあたって壁に打ち付けられてしまった。
おれは急いでヒメに近寄った。
「大丈夫か?」
「うっ! 大……丈夫ですっ」
「ここで休んでいろ」
おれが行くしかない。
ヒメとの闘いの動きを見ていて気がついたことがあった。
それを試してみようと思う。
おれはゴブリンに剣を向けた。
ゴブリンは大きく腕を振り上げた。
今だ!
おれはゴブリンの股のしたを通り後ろに回った。
ゴブリンはおれを見失ってキョロキョロしている。
その間におれは高く飛びあがり、ゴブリンが気づいたときには遅い。
ゴブリンの頭上から剣を振り下ろし、ドッ! ザクッ!
ゴブリンを真っ二つにさいた。
よし!
「やりましたっ」
「ああ」
「心、すごいです」
「ヒメのおかげだよ」
「え?」
「ヒメの戦い方を見ていて気がついたんだ。ゴブリンが手を振り上げたとき、次の行動までに時間がかかることに……」
「それで足元に向かったのですね」
「ああ、股下を通って後ろに回り見失っているところに……ってね」
「すごかったです」
「そうかな~」
ゴブリンを倒した場所に、宝石箱が置かれていた。
箱を開けてみた。
中には、戦闘服と剣が入っていた。
そして、回復の薬と麻痺回復の薬が入っていた。
麻痺回復の薬が入っているということは麻痺させる魔物がいるってことだよな。
嫌だな。
【レベル20】
ん?
いま、レベル20って浮かんだな。
おれのレベルだよな。
2階層のボスを倒してもうレベル20か。
まさか、5階層までいけばレベル100か?
そうなると、5階層でヒメが成人するってことなのか?
ん~ん、わからない。
「ヒメ、回復の薬を飲むか?」
「いえ、大丈夫です」
「そうか?」
「今日はもうお帰りですよね」
「ああ、そうだな」
「なら、休めば明日には回復するので大丈夫です」
「そうか、わかった戻ろう」
おれたちは3階層の扉に入った。
【3階層】
そしておれたちは、ワープを使って家に戻った。
ふぅ。
「心、街にいって鑑定してもらいますか?」
「ああ、明日行くことにしよう」
「はい」
おれとヒメは夕食を食べ、早めに休んだ。
そういえばおれ、何気にヒメシュウレイのことをヒメと呼んでいたな。
まあ、なにも言われないからいいかな。
◇◇◇
そのころ、ヒメシュウレイは自分の部屋で休んでいた。
『今日、心はわたしのことをヒメって呼んでくれた。ふふっ』
ベッドの上で頬を赤らませ思いだしながら、手で顔を隠して足をばたつかせ喜んでいた。
ヒロインは多肉植物!?~異世界でも多肉植物(女の子たち)を愛でることになりました~ 柚子桃しずく @momoyuzu-sizuku
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。ヒロインは多肉植物!?~異世界でも多肉植物(女の子たち)を愛でることになりました~の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます