キヲクを無くした君の恋

@Ren258

第1話:出会いと別れ

「近藤さん、僕と」「付き合ってください」



私はその場で少しの間沈黙した。

中学生。それも1年生だ、無理もない

彼の名前は佐野海吏先輩

同じ軽音楽部の先輩です。

「佐野先輩。あの、、私、こういうの初めてで。気持ちの整理をしたいのでお返事待っててもらってもいいですか」

「分かりました」

すこし悲しげな顔をしていた。

そう。先輩はこれから受験シーズン

部活にも来れなくなるし、学校でも自由に話せる時間が減る。


気づいた時にはもう先輩は明日香高校への進学が決まり、あとは卒業するだけの学校生活だった。

そして遂に先輩卒業の日、先輩と会えるのは最後の日

今日こそ返事を伝えないと、、、

「佐野先ぱ、、」「佐野せんぱーい。今日が最後ですから一緒に写真を撮りましょ」

「あ、うん。いいよ」

軽音楽部の2年の先輩たちだ

先輩は軽音楽部の中ではいちばん優しく

後輩からの評判がとても良かった。

(それもそうだ。。。私は1年だけ、先輩たちは2年間一緒だったんだもん。。。。)


「海吏先輩と撮らなくていいのか?」

「逸希、、、、」

緋山逸希、私の幼稚園からの幼なじみ

「私より先輩たちの方が思い出残ってるし、、海吏先輩もその方が、、、いいって」


「相手との思い出ってどれだけの期間かじゃなくて、どれだけ大きいかじゃないか?」

「なに急に真面目なこと言って、あんたらしくない、、、」 「るっせ」


「ごめんねお待たせ近藤さん。」

「いえ、、」「写真?」「、、、の、、、タン」「えっ?」

「先輩の第二ボタンが欲しいです!!」


「あっはは参ったな。ごめん、あげたいのはやまやまなんだけどさっき咲希さんにあげちゃって、、、」「そうなん、ですね、、、」

「写真だけでも撮りますか」「はい、、、」


この日私は初めて先輩の前で涙を流した、、



そして先輩は卒業、、、

軽音楽部は真面目だった3年生が居なくなって

荒れ果てた…


私は部活内のいじめの標的にされた。

なんども辞めたいと思った。

その度に先輩の言葉が助けてくれた。


「音楽は人を選びます。音楽センスがある人は音楽に気に入られたんです、今はまだ無理でもその努力は音楽が見ていて必ず選んでくれると信じることです。持論ですがね」


傍から見たら呪いだと捉えるだろう。

けど私にはこの道を歩くための足だと思ってる。

そして2年生も3年生になり卒業。

私以降の後輩はみんな2年生の先輩たちの理不尽に耐えきれず辞めていった。


私たち軽音楽部は廃部の危機にも遭った

そんな時顧問の先生から受けた

全国中学軽音コンテストに応募して

見事県大会を突破、全国まで足を踏み入れた

全国は一回戦敗退。全国の壁は大きかった。

けど私たちは県大会を突破したことを全校集会で表彰された。私の学校は昔から強豪だったらしく、海吏先輩が1年生だった時から

県大会を突破することも出来なくなっていたらしい


そして私も受験の時期になった。

私は全国まで進出できた腕から音楽系の高校へ進学するよう先生から勧められた。

でも、私は最初から決めていたのだ。

「どこに行くんだい?」「明日香高校へ行きたいです!!」

先生からはすぐに止められた。

それもそう。明日香高校は偏差値が71

私は勉強も出来ないダメ女だった。

夏休みから逸希と兄・湊月と一緒に勉強漬けになった。兄は明日香大学に通う大学生。

今まで1日1時間するかしないかだった私も1日6時間勉強をするようになった。

模試はB判定。

Aじゃなかったので心配になった。

そして受験の日。しっかり解いたが少し不安にも感じていた



私と逸希は見事合格。これでこの学校から

明日香高校に進学できた人が7人になった。

(4月からこの学校であの人に会えるんだ)


〜そして、4月最初の授業の日〜


「朱音、どこ行くんだよ。」


「海吏先輩、、海吏先輩、、、」


海吏、、、せん、、ぱい、、?

そこには中学の頃の先輩の姿はなく、

メガネを外しすっかり垢抜けていた。


「海吏先輩! ハァハァハァ」

「その上靴。1年生ですね、分からないことがあったんですか?私でよければ聞くよ」

「あの日の返事を伝えたくて」

「あの日?」「すみません。誰かと間違えてませんか?」

「海吏先輩。今日の部活の件ですけど、、、

誰?」「私に用事があったらしいのですけど」「すみません。もう行きますね」



「そんな、、先輩が、、、

私の事忘れて。。。」

私の心は闇に閉ざされた。

数日間私は不登校になった。

もちろん学校からも逸希からも連絡が来た。


何も食べず、食べようとしても喉にものが通らず、何度も戻すような日々だった。

家に先生が来た。

不登校になっている理由。学校に来る気があるかどうか。今までの配布物全てが耳から入り耳から抜けた。


そんなある日、親が私の部屋のドアを開け

遂に怒られるのかと思った。

母は怒ることも無く優しく

「海吏先輩があんたのことを忘れてるのも変じゃないよ。もう3年が経ってるんだからね

だからって諦めるの?私もお父さんとは中学からの知り合いだった。先輩でね、お母さん、お父さんに会いたいからって高校も同じところに入ってずっと追いかけた。だから今こんな暖かい家庭に囲まれて。朱音も湊月もこんなにすくすく育ってくれた。だから、こんな所でクヨクヨしてないで。先輩に思い出してもらおう。朱音は才能があるんだから」

母の言葉で私の心の雲が晴れた。とても温かい気持ちになれた

2週間が経ち、私は学校に登校した。


私はこの学校で目立ち先輩に認知してもらって何とかして先輩の記憶から思い出してもらおうと思った。

私はどこまでも追いかける。あなたが私のことを忘れても、私は貴方が好きだから。

恋はどんな闇にも強い真実だから。


「じゃあ自己紹介して」「近藤朱音。兄は近藤湊月、明日香高校首席。兄の株を下げないよう今までの2週間の勉強を追いつくのでよろしくお願いします」


「じゃあ近藤の席はあそこな。」

「よっ」

逸希だ、、、「はぁ、、」

「なんだよそのため息。」「飽きたわよ!

あんたの隣の席なんて」

幼なじみの上に私たちの名前は近いのでどこでも基本となり席なのだ


「もう先輩のことはいいのか?」

「え?」「忘れられてたんだろ?」

「今はね。」「じゃあ俺と、、」「なし」

「まだ何も言ってねぇじゃん」

「だいたい分かるわよ

あんたの言いたいことなんて」


やっぱりなんだかんだ幼なじみといるのがいいのかも。


待っててください海吏先輩。私絶対あなたに思い出してもらいますからね!


第2話:遊び


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あとがき

第1話出会いと別れを見て頂きありがとうございます。

私は恋愛を多く経験してきた訳では無いのですが。いつものように落ち着いている時にぱっと浮かびこんだ作品の一つをこれから書いていきます。のこり4つほどまだ書いてない作品があるのですが好評でしたら連載する作品の増加を考えています。

これからもキヲクを無くした君の恋をどうぞ応援よろしくお願いします

レン

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