空を仰ぐ

白に染まる

木の葉を揺らす

砕け地に舞う

雪の夜は現実ではなく

幻想の中でただ佇むのみ

あの頃は良かった

なんて口癖も

今となればかわいいものよ


滑りゆく記憶

降り積もる後悔

楽しみなど私にはない

溶け出してしまえばなんて

嫌になるほど思ったような

そんな記憶も淡く

そして名残なく消えゆく

記憶の契りというものは

儚く薄くそして脆い

そんなものを繋ぎ止めるなど

無理な話よ


空を仰ぐ

雪が溶けた

彼女の記憶から

私も溶けた

もう思い残すことはない

私はそっと瞳を塞ぎ

雪の降るのを感じていた

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