オレ、先輩の事を幸せにします!(3)

長いキスのあとで、オレはチアキ先輩に言った。


「先輩、オレ達には、もう言葉なんていらない。っすよね?」

「ああ、そうだな。ノリ……」


チアキ先輩は、オレの手をギュッと握った。

指を交互に入れて恋人結び。


晴れて恋人同士。

嬉しくて、口元が緩む。


ああ、そうだ。

オレは気になっていたことを思い出した。


「ところで先輩」

「なんだ?」


「オレが先輩を呼び止めなかったら、どうするつもりだったんです?」

「ああ、それな。ほら、その紙袋の中に手紙が入っているっていっただろ?」


「ああ……」


オレは、紙袋の存在を思い出した。


「そうでしたね。ははは。どんな手紙なのか、読んでみるかな」

「ノリ! やめろ! もう読まなくていいよ!」


チアキ先輩は、顔を真っ赤にしてオレにつかみかかる。

オレは、それを振りほどいて紙袋から手紙を取り出し、手を伸ばして高く上げた。

チアキ先輩は、「返せ、返せ!」と叫びながら、ぴょん、ぴょんとジャンプして懸命に取り返そうとする。


その姿に胸がトクンと、ときめく。


やべぇ、やっぱり先輩は、オレの先輩は、超かわいい。


オレは、衝動を抑えきれず、チアキ先輩をギュッと抱きしめた。

そして、先輩の耳元でささやいた。


「先輩、手紙返しますって……でも、どんなことが書かれているか、今ここで言ってください」


チアキ先輩は、コクリと頷く。

そして、さりげなく、オレの手から手紙をさっと取り上げた。


「ノリ! お前、さっき言葉なんていらないって言っていたよな? だから、言わない! べー!」

「なっ!」


だけど、先輩のベーの姿に、またしてもオレの胸は撃ち抜かれていた。


チアキ先輩、オレ、先輩の事を幸せにします! 絶対に!


オレの無言の微笑みに、チアキ先輩も、無言のままにっこりと微笑んだ。



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オレ、先輩の事を幸せにします! いちみりヒビキ @shirakawa_hibiki

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