薔薇の吸血姫とボクっ娘JK巫女さん4~漆黒の腕(かいな)~

第5話「漆黒の腕(かいな)、黒の花嫁」

 セリスは、黒いウェディングドレスを着ていた。

 深淵しんえんの闇の中から、何者かの両の手が伸びて来る。

 その魔手ましゅが、逃れようとするセリスを捕らえる。


「助けて!玲香れいか!!」


 セリスは、涙を流して玲香に手を伸ばした。

 玲香も必死に手を伸ばすが、邪悪な力に手を弾かれてくうを切る。


「行くな! セリス―――!!!」


 玲香は、目をカッと見開き、ベッドから飛び起きた。

「玲香!?どうしたのじゃ?」

 布団で、寝ていたセリスが心配して、玲香を覗き込む。

 玲香は玉のような汗をかき、ゼイゼイと肩で息をしていた。


 セリスが、目の前にいるのを確認し、強く抱きしめる。

「玲香……。んっ……」


 そのまま、玲香はセリスの唇を奪う。

 しばらく、セリスは、玲香にされるがままにされていたが

 玲香は落ち着いてくると、安心して、ゆっくり離れた。


「ほんにどうしたのじゃ。玲香?」

 顔は赤く火照り、潤んだ瞳で、玲香を見つめるセリス。

「嫌な夢を見たんだ。君が闇から、伸びる手にさらわれる悪夢を」


「大丈夫じゃ。わらわはずっと、玲香の側におる」

 セリスは玲香に抱きつく。

「大丈夫じゃから、な……」


 セリスは、玲香の背中をぽんぽんと、優しく叩く。

「わらわはちと、花摘みに行ってくるのじゃ。先に寝ていてくれ」

「ああ、行っておいで」

 玲香はうなずくと、ベッドに入った。


 それから、しばらくして。

「きゃああっっ!!」

 セリスのつんざくような悲鳴が聴こえて来た。

「セリス!」

 玲香は部屋から走り出る。


 ◇ ◇ ◇


 トイレの方に急ぎ、走った。

 しかし、不思議なことに、あれだけの叫び声がしたにもかかわらず、叶恵かなえしゅんも起きて来ない。

 ――なんだ? 何かがおかしいぞ—―

 玲香は、そう思いながら、トイレの前に着く。

 彼女が玲香、ドアを開けるとそこには、渦巻く闇にセリスが呑まれようとしている瞬間だった。


 セリスは、気を失っているようで、呑まれるままになっている。

 玲香は霊能力が強い、予知夢は高確率で当たっていた。

 油断していた。自分が付いて行けばと、玲香は酷く後悔した。



 闇の中から、不気味な声が聴こえて来る。


『フハハハハ!我が名はドラン。セリス嬢は頂いた!』

「セリスを、返せ—――っっっ!!!」


 玲香は、霊力を高めると刀印とういんを結び、衝撃波を放った。

 しかし、闇に衝撃波がかき消される。


 衝撃波は、対象のみに効く術だったため、トイレや家などは壊れていない。

 が、謎のドランと言う者にもなぜか、効かないようだった。


「くっ、もう一度だ!」


 玲香が、印を再び結ぼうとした時、後ろから肩を叩かれた。

 玲香が振り返ると、叶恵かなえが立っていた。


「下がってなさい。」


 叶恵は、玲香を後ろへ下がらせると、片手を前に突き出した。

「消えなさい!闇よ……!」

 叶恵は、グッと強く片手を握る。

 その瞬間、パンと闇は破裂し、飛び散った。


 闇が消滅し、セリスが倒れ掛かって来た。

「セリス!」

 玲香は、セリスを慌てて受け止めた。

 叶恵に玲香が、呆然として聞いた。


「ボクの術が全然、効かなかった。母さん、あれ何だったんだ?」

「あれは、闇の吸血鬼と呼ばれる者よ。肉体の無い、魂だけの存在なの。」

「あれらは、セリスちゃん達。ヴァンパイアにとって、代わろうとしているようにみえたわ。これからも、別の者が襲ってくるかもしれない。玲香ちゃんに厳しい鍛錬たんれんを、させなくてはね。」

 叶恵はいつもの笑顔に戻り、にこりと微笑んだ。


 ◇ ◇ ◇


 次の日、急遽きゅうきょ。メフィスも呼ばれて玲香、セリス。叶恵達は話し合うことになった。

「わらわがそんな、げせんの吸血鬼に、連れ去られようとしていたなど。許せぬ」

 セリスが、親指の爪を噛みながら、心底悔しさを表す。

「闇の吸血鬼、聞いたことはあります。セリス様をさらおうとするなど。万死に値しますね。早急に、対策を講じなければ」

 その日から、叶恵による、玲香達の鍛錬の日々が始まった。



 玲香達は、日々鍛錬に励み、霊力を高めていったが。

 その間にも、闇の吸血鬼達は、セリスを必要に狙ってくる。



 その一か月後、異例の速さで玲香、セリス、メフィスは鍛錬をやり遂げ、能力が高まった玲香達は、闇の吸血鬼達を退しりぞけることに成功した。闇の吸血鬼の主は、セリスを妻とし、ヴァンパイア達を牛耳ぎゅうじるのが目的だった。

 しかし、叶恵の協力もあって、吸血鬼達の主を倒し、玲香とセリス達に平和が戻った。



 🌛・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・🌛

 ブックマークしてくださった方、すみません。

 余裕が無いので一度、完結済みにします。

 今は、最終話が絶対書けるとも書けないとも言えないので


 お待たせしないように完結済みにしました。

 もしも、今後書けた時にはよろしければ、またお立ち寄りください。

 ここまでお読みくださり、ありがとうございました。


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薔薇の吸血姫とボクっ娘JK巫女さん【連載版】(百合) 夢月みつき @ca8000k

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