この場所で無色の文字に輝きを

西野ゆう

カクヨムで詠み読む短歌

灯消し白く浮かび上がるモニタ光らぬ場所が意味を持つ罠


雨音もてのひらの中になければゲンジツからは離れてきこえ


端末を震わせ降りるメッセージそのいとしさに枕へ吐息


メモとして指を滑らせ書き綴るタタタンタンと短歌のリズム


近況ノートで見せるのは私の生きる世界をうつした写真


闇夜でも見えない月を知るように多くの歌があることを知る


次々とあげられてゆく短歌たち。詠み人たちの想いは別に


かろやかに「はじめまして」と言うように最初の歌を紡ぐ若人


この場所で無色の文字に輝きを感じるような一首に出会う


その文字も私のように指先へ想いを込めて送ったのかい?


執筆時淡い緑がゆらゆらと平家の里にてゲンジホタル


ネットはキョコウとゲンジツが入り混じりウソを創作と言い変える


ひと言が余計と言われております。ふた言ならば歌になるかも


手探りで幾つか想い込めながら見知らぬヒトの想いにふれる


ひさかたのクラウドにある言の葉を漂流しつつ拾い集める


<公開>と変換したる端末で航海に出るノーリグレッツ


AIが書く小説をAIが読んでデータを貯める時代に


人として詠む歌で人の心に愛を溜めたい僅かだけでも


カクヨムで詠み読む短歌願わくば裾野の広さは富士を超えて


不死という電子の動きで残される光らぬ文字の背後に光り

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

この場所で無色の文字に輝きを 西野ゆう @ukizm

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ