第9話 俺は運が良い


 蟻の巣に行って黒鉄石はほぼ取り尽くした。それからギルドに報告に行き、マザーアントなどの素材も卸してきた。

「凄いですね、渡り人様なのは聞いていましたが、またランク上がりました」

 いまが、Cランクらしい。

 レベルを上げたくていったんだけど、思わぬ収穫もあったし、ラッキーだな。


 ネレが鍛治で作った剣を俺にと、渡してきた。

「黒鉄の剣ですので、切れ味も強度もバッチリです」

 ミスリルの剣と持ち替えて剣を腰にさす。

「うん、ありがとうネレ」

「はい!」

 

 ディナは傷んだところを殆ど直してしまったらしく、つぎは何をするのかと聞いて来る。アインと二人でまた遊びにでも行ってこいとお金を渡して外に出す。

「また獣に戻っちゃうっすよ」

「その前に一杯やろう」

 俺もそのうち二人に混ざって遊びに行きたいなぁ。


「ルイ様は行かせませんよ?」

「ティリウス!そ、そんなこと思ったないよ?ただ男同士で飲む酒もたまには良いかなぁって」

 後ろにいるティリウスに気付かなかった。

「あー。ルイ様焦ってる?」

「ギーネ、揶揄うなよ」

 ギーネはニシシと笑ってダイニングに行く。

「ご飯できましたよ?」

「はーい!ディアンヌ、いつもありがとう」

「えへへ、ルイ様には美味しいもの食べて欲しいから頑張りますよ」

 照れてるディアンヌも可愛い。


「もー、早く座って下さい」

「ごめんごめん、ミルカはお利口さんだな」

「撫で撫でして良いですよ」

 頭を撫でてやると最近は喜んでくれる。


 ネレも揃って晩御飯を食べる。

 その日あったことや話したいこと、ギーネなんか酔って脱ぎ出したり、楽しい我が家の食卓だ。


 広い風呂に入ると今日は全員入ってきた。

 裸は見慣れてるけどちょっとモヤモヤする。いつもと違うからかな?

「最初より筋肉がつきましたね?」

「そうかな?」

「あー、私も思った」

「うん、筋肉質になってるよ」

「ムキムキー」

 ミルカがポージングをする。

「あははは、これでもすこし頑張ったからね」

 ゴブリン、オーク、クイーンアント、か。


「ヒヤヒヤしますけどねー」

 ギーネが湯船の淵に座り笑っている。

「そりゃ悪かった、でも今度はネレの作った剣もあるしね」

「会心の出来です!」

 ネレは胸をバルンッとしながらそう言う。


「今日はまたみんなで寝ようか」

「えー、今日は私の番」

「明日に回せば良いさ」

 ギーネが口を尖らせ文句を言う。

「やったー、みんなでベットだ」

 ミルカは楽しそうだ。


 あぁ、俺は運が良い。


 

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運のない男〜死んだら悪霊も一緒に死んだらしく運が回復しました〜 あに @sanzo

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