第8話 黒鉄石


 やはり戦闘の後は猿になってしまうらしく、夜伽のティリウスはヘトヘトになったらしい。が、それが可愛いと言って甘やかされてしまう。


 俺はオークチーフにあれだけ苦戦させられたのが悔しいのだろう。剣も通らなく、魔法も効かないなんて、自分がもっと強ければ。


 レベルをあげよう。

 みんなを守れる様に。

 冒険者ギルドに行く、メンバーは変わらずアイン、ギーネ、ディアンヌだ。

 レベル上げならとにかく敵を倒す事だ。


「ジャイアントアントですか?無理ですよ」

「いや、俺なら大丈夫だ」

「いや、一、二体なら良いっすけど」

「みんなには漏れた敵を頼むよ」

 俺はジャイアントアントの巣を攻略してみせる。

「はぁ、ルイ様のご指示じゃなければ嫌ですが」

「行くしかないわね」

「もう嫌なんっすけど」

「じゃあ俺一人で行く」

「「「だめ」っす」」


 ジャイアントアントの巣に近づくに連れてみかける量が増えて来る。

「ほんとにいくっすか?」

「行く」

「もう無駄だって」

「死んでもお守りします」

 ディアンヌは騎士だったな。

「よし、巣が見えたぞ!サイクロン」

 サイクロンで穴を封じて敵の目の前に行く。

「よし!いくぞ!」

 ジャイアントアントの繋ぎ目を狙って剣を振るう。

 中央に陣取ってアリが来るたびに剣を振るう。十体目くらいで剣が折れる。が、アイテムボックスから代わりの剣を出し、またアリと戦う。


 二時間ほどだろうか、ようやく敵も少なくなりつつあった。蟻の死骸をアイテムボックスに入れつつ、次の軍隊蟻に備え武器を鉄の剣からミスリルの剣に替える。

「だからあの剣買ってたんすね」


 軍隊蟻が出てきて戦闘が始まる。

 俺は敵の攻撃を見極め、剣を振るう。

 単調な作業じゃなく、相手をちゃんと見て倒す。レベルが上がってきてるのも分かる。


 ようやく軍隊蟻がいなくなって、残るは親衛隊とマザーだけか。

「はぁ、はぁ、そっちは大丈夫かな?」

「ばっちしっすよ!」

「殆ど一人で倒してるじゃない」

「ルイ様こそ大丈夫ですか?」

「うん、大丈夫!これから中に入るから」

「もう十分っすよ」

「だめよ、ルイ様が行くって言ってるんだから」

「ルイ様、いまこそ盾となり剣となりましょう!」

 アインは反対、ギーネは呆れて、ディアンヌはいつも通りか。


「よし。中に行こう」

『おー』

 中にもまだ沢山のアリが残っているが敵ではない。駆け抜ける様にアリを駆逐していく。

「はっ!」

「速いっすよ」

「泣き言言わない」

「ぬぅぉぉぉ」

 速さも上がってみんながついて来るのがやっとか。

 アリは駆除してるからはしったきてるだけなんたわけどな。

 親衛隊らしきアリが混ざってきている。マザーまでもう少しみたいだな。

「サイクロン」

 アリを後ろに通さない様に押し込んで斬り倒していく。

 

 ようやく腹の膨らんだクイーンアントが見えた!

「ようやくかよ!らぁ!」

 アリを押し留めるのにパワーがいるな、親衛隊ばかりか!

「おらぁぁ!」

 ミスリルの剣に風を纏わせ斬っていく。


 最後クイーンは抵抗できずに倒された。

「よし!あとは卵を潰して終わりだな」

「それなら俺らがやるっすよ」

「全然戦ってないからね」

「はぁ、はぁ、そうですね」

 クイーンをアイテムボックスに入れ、ほかの蟻の死骸もアイテムボックスにいれていく。


「この鉱石は?」

「よくわかんないっすけど試しに持って帰ってみたらどうっすか?」

「そうだな」

 他の卵を潰してる間、俺は鉱石を採取していた。

 レベルは、


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 運河 類 二十一歳

 レベル 51

 力 A

 体 B

 速 B

 魔 S

 運 SS


 スキル 異世界言語

     アイテムボックス

     剣技 四大魔法(火風土水)

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 よし!思ったより上がってるぞ!

「潰し終わったっすよー」

「よし、帰ろうか!」

 俺が先頭だ。

「なんで一番働いたルイ様が元気なんだよ」

「私もまだ精進が足りないですね」


 今日は疲れたからギルドは明日行くことにしてこのまま家に直行する。

「ネレ、この鉱石は使えるか?」

 鍛治場にいたネレに聞いてみる。

「黒鉄石じゃないですか、よく見つかりましたね?」

「いっぱいあったぞ、とりあえず取れるだけ取ってきたけど」

 鍛治場の片隅に山を作る。

「うおぉぉ!まだあるんですか?あるなら取りに行きたいです」

「まだあったから明日行くか?」

「はい!」

 いい鉱石だった様でなによりだ。


 今日のことを話しながら晩飯を食べる。

「えぇ!ジャイアントアントの巣ですか?」

「もう綺麗さっぱり倒したからただの洞窟だよ」

 ネレがビックリしていた。

「それはギルドに言っちゃいましたか?」

「まだだけど」

「なら今のうちに黒鉄石を取り尽くしましょう」

 そんなに価値があるとはな。

「んじゃ明日はみんなで行くか?」

『おぉー!』


 夜伽でもネレは興奮したように黒鉄石について語って聞かせてくれる。

「黒鉄石ってのは………」

 まぁ、打てば打つほど強くなるらしい。

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