第7話 オーク
家具を買って置こうとしたが、やはりちゃんと掃除してからにしようと言うことになって大掃除の始まりだった。
台所や風呂、水回りが一番大変だったが、綺麗になるということなしだ。
綺麗になった部屋に家具を置いていく。
「一気に部屋らしくなりましたね」
「ルイ様の部屋おっきい」
ミルカがベットに一番乗りだ。
俺も横になるといつの間にか寝てしまい、ミルカと二人で夕方まで寝てしまった。
「はっ!寝てしまった!」
「うにゅ、寝てまった」
二人で顔を合わせ下に降りていくといい匂いがする。
「二人とも顔を洗ってきて下さいね」
『はい』
顔を洗ってダイニングに行くと美味そうな料理の数々。
「料理も出来たのか?」
「私とディアンヌですけどね」
ティリウスが言う。
「美味しそー!」
「うん、美味そうだ」
続々とみんなが帰ってきて飯を食う。
「うめぇっす」
「あら、美味しいわ」
「これでも料理は得意な方だ」
ディアンヌが胸を張る。
みんなで飯を食っているだけなんだが目頭が熱くなる。
俺は運が悪かった。
親も事故で亡くしてしまい、金はなんだかんだで親戚筋が俺を引き取るのと同時に取られ、大人になってからもブラック企業で一人でコンビニ飯ばかり、今が一番幸せだと感じる。
「どうしました?お口に合わなかったでしょうか?」
「いや、美味いよ!今まで食べた中で一番美味い」
ティリウスは照れてイヤンイヤンしている。
酒も進むし程よく酔って来る。
明日からまた冒険者をしてみよう。自分に何が出来るかわからないけどやれる事はある。
昨日は夜伽は無しで、六人で寝てしまった。ミルカがどうしても一緒に寝たいというからしょうがない。みんなでわいわい喋りながら寝た。
ネレは朝から鍛治場の掃除をしている。ミルカも手伝っている様だ。
ディナは補修を担当しているのでトンカチ片手にコンコンやっている。
ティリウスは家事をしているので、残りはアイン、ディアンヌ、ギーネ、俺だ。
「冒険者ギルドに行って来る」
みんな行きたがったが、やることがあるのに無理して行くわけにもいかず、この四人でギルドに向かう。
ギーネが持ってきたのはオークの討伐、ゴブリンよりパワーもスタミナも上だが鈍足だ。この間より難しい依頼だが俺たちも負けていられないだろ。
「よし、受けよう」
オークの居場所は南西の森の奥の方らしい。ゴブリンの集落のもう少し先かな?
早足で南西の森まで入っていくとそこからは慎重にその地点を目指す。
『ブ、ブヒ』
『ブヒヒ』
オーク二体だ。アインとディアンヌが攻撃を仕掛ける。二人とも一撃でオークを倒してしまった。
「これくらいならヨユーっすよ」
「騎士団でもこれくらいなら」
おー、二人とも手慣れているな。
少し先に進むと今度は五体、ウインドカッターを、首くらいの高さで放つと四体は倒せたが一体は無事だった。すかさずディアンヌが前に出て一体を倒す。
アイテムボックスには七体のオークが入っている。
これで帰ってもいいのだが、何故か胸騒ぎがしてもう少し進むことにした。
「ルイ様、集落が出来ていますね」
「胸騒ぎの原因はこれか」
オークの集落ともなれば難易度が段違いだ。
『はなせ!この!よくも仲間を!』
まだ若い女の子が捕まっている。
「どうするっすか?」
「助けるに決まってるだろ!」
俺が先に出てウインドカッターで掴んでる奴の首を切る。
オークが出てきたがディアンヌ、ギーネ、アインが戦っており、俺は女の子の元に近寄り縛られた手を解くと、剣でオークを倒していく。
“ブオォォォォォオ”
一際デカいオークが出てきて吠える。
一瞬身体が硬くなったがすぐに解け、剣を構える。
「ルイ様!無理しないでください」
「分かってる!ウインドカッター」
ウインドカッターが首を狙うが斧で消し飛ばされる。
斧を振り下ろすオークを避け剣で斬りつけるが刃が通らない。
「サイクロン」
風の魔法を使いオークを巻き込む。
“ブオォォォォォオ”
吠える事で風を撒き散らした!
「ストーンランス」
石の槍がオークの脇腹を抉る。
「ホール」
「うおぉぉ!」
落とし穴の要領で足元を陥没させると、剣を垂直に持ち突きを放つ。
首に突きを喰らったオークはようやく倒れた。
その頃には他のオーク達も倒されていて、ようやく人心地ついた。
「さすがルイ様、オークチーフを倒してしまうとは」
「オークチーフか、強いわけだよ」
アイテムボックスに入れていく。
「さっきの女の子は?」
「あっちで仲間の亡骸を弔ってます」
「すまなかった、助けてもらったのに挨拶が遅れた。私はサティ、冒険者だ」
「仲間はもういいのか?」
「あぁ、タグは回収できたしね」
汚れた茶髪でピアスをしている。元の世界だと狩られそうだけど、素直でいい子らしい。
「帰りまで一緒にいいか?」
「あぁ、そのつもりだ。残りがいないか見て回ってから集落を潰して帰ろう」
その後は手分けして集落を見て回り、金貨袋を手に入れた。集落を潰して回り、ようやく帰路に立つ。
サティは終始無言でギルドに帰り着くと凄い剣幕で怒った。
「ギルドの調査が甘すぎる!本当なら私達だけで問題なかったはずだぞ!」
「すいません」
「どうしてくれるんだ!仲間、仲間が全員死んだんだぞ!」
烈火の如く怒るサティの気持ちもわかる。
「なんだ?何があった?」
「ギルマス」
ギルマスと呼ばれた筋骨隆々の男が二階から降りて来る。
「ふむ。だが、撤退できたはずだ」
「しかし!」
「無論、調査が甘かったのは認めるが、冒険者は自己責任だ。報告と違うと感じれば撤退するべきだ」
「そ、それは」
「今後この様なことのない様に調査は徹底する。が、集落が進化したりしたらそれだけじゃわからないこともある」
今回は集落が進化していたのか?ゴブリンの時の様にか?
「それじゃあ進化を憶測に入れた依頼にすべきだと思う。前回もゴブリンの集落が進化してしていた」
「そうだな。集落の依頼をワンランク上げることにしよう」
ギルマスはそう言うと席を離れていった。
「ありがとう。私にはお礼が出来ないが、何かあれば頼ってくれ」
「いいよ、頑張れよ」
「あぁ」
オークの集落を討伐したことでランクが上がり、集落討伐の討伐料もワンランク上のものを支払ってもらえた。オークの死体は肉になるらしく、解体場で買ってもらえる。
思ったよりいい金額になった。
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