第6話 家


“コンコン”

「ディアンヌです」

「開いてるよ」

 金髪がフワッと浮かびながら入って来る。

「夜伽をしに参りました」

「ねぇ、ディアンヌはもと騎士だったの?」

「…はい、戦争捕虜で、奴隷になりました」

 こちらを見ずに真っ直ぐと空を見つめている。

「そっか。ここも戦争があるんだね」

「はい」

「悲しいね、同じ人間なのに」

「はい」

「俺は戦争のない国からきたんだ」

「え?、」

「他の国は戦争してたりしたけど、俺のいた日本って国は一度戦争に負けてから戦争しなくなったんだよ」

「……」

「今も残ってる戦争の資料館には壮絶な言葉にできない資料が沢山ある」

「私も戦争で人を殺しました」

「うん、でも君は生きてる。亡くなった人の分も君が背負う必要はないよ」

「でも」

「うん。簡単じゃないよね。だから必死に生きて」

「はい」

「俺が助けるから」

「はい」

 ディアンヌの髪をさわる。

「騎士っぽかったから聞いただけだ。ディアンヌはディアンヌだから」

 真っ直ぐな瞳が俺を映す。

「ルイ様」

「うん?」

「私はルイ様の盾となり槍となりましょう」

「分かったその忠誠だけもらっとくよ。でも俺がディアンヌを守るから」

 ディアンヌの瞳を見つめ返す。

「……ルイ様」

 唇が触れる。



「朝がこんなに早くくるなんて」

「ハハッ、一晩中喋ってたもんね」

 夜伽の後はずっと喋っていた。

「私の愛する人」

「ありがとうディアンヌ、愛してるよ」


 これで四人と交わってしまった。

 全員が可愛く愛してしまった。

 いつかは奴隷を解放できないだろうか?


 ディナに言ってまた昼間寝ることを伝える。ディナなら上手くやってくれるだろう。


 今の俺なら大丈夫だろう。

 前の様に運が悪くないのだから。


「ここは戦争はあるのか?」

「いまはありません、王国側が勝ちましたから」

「こっちは王国側なんだ。じゃあこっちで拠点探ししようかな」

 拠点が必要だ。いつまでも宿暮らしじゃみんなが可哀想だし。

「そうですね、王国側なら治安もいいですし」


 いまあるお金を数えてみる。

 大金貨 98枚 金貨 740枚

 1720万ゼルか。

 昨日のゴブリンキング集落の討伐金が良かったしな。


 これで家買えるか?借りるか?

 こっちで商売するにしても何がいいか?

 食事は煮る焼くだけだから揚げ物とかかな?俺ができるのは唐揚げくらいか。ホットケーキミックスがあればドーナツとかもいいよな。


 まずはリサーチと店舗兼家探しからだな。

「はい!鍛治ができる店がいいです」

「ネレは鍛治ができるのか?」

「直したりするくらいですけど、これからどんどん腕を上げます」

 ネレはフンスとやる気を出している。

 そっか、ハーフドワーフだったな。出来るだけデッカい家がいいな。

 店舗は屋台みたいなのでもいいか。

 まずは商人ギルドに行ってみる。


 商人ギルドに入ると受付が並んでいる。

「家を買うか、借りたいんだけど」

「はい、どの様な物件をお探しですか?」

「部屋数が多くて鍛治場がある物件なんてある?」

 受付のお姉さんは資料を取りに行く。

「そうですね、ちょっと遠くなりますがここなんてどうでしょう?部屋数8の鍛治場もありますし、元住んでいたのが鍛治士の親方さんでして、お弟子さんもたくさん住んでいたそうですよ」

「こちらでいくらですか?」

「築年数も古いですし、千五百万ゼルですね」

「ほかはどうですか?」

「そうですねー、賃貸だとあまりいいのはないです。あとはお屋敷になりますが鍛治場はないですね」

「うーん、一回見てみていいですか?」

「はい!ではご案内しますね。ちょっと待ってて下さい」

 どうかな、千五百万ゼルなら払えるが、

「お待たせしましたー」

 受付のお姉さんに連れられて大通りからだいぶ離れた場所まで来た。

「こちらがその物件になります」

 外見はそこそこまともな物件だな。

「では中を見てみましょう」

「はい」


 中は商売をしていたんだろう形跡があり、その奥の方に鍛治場があった。二階が部屋になっており右に五部屋、左に三部屋あり、一部屋は三部屋を繋げた様な形だった。

「ここなら要望に応えられるかと」

「ですが築年数もありますし、改装もしないといけないですよね?」

 ティリウスが交渉し始めた。

「そーだねー、こことかだいぶ傷んでるし」

 ギーネも支援に回る。

 こう言うことは女の人に任せるのが一番かな。

「そうですねー、私自身で決められるものではないので上と交渉してみますね」

「よろしくお願いします」

 

「みんなはどうだった?」

「陽当たりも悪くないですし、手を加えればいいと思います」

 ティリウスがそう言うと、

「俺が直しますよ」

 ディナはなんでもできるな。


 結局は現状引き渡しで千二百万ゼルまで値下げしてくれた。

「と言うことで我が家だ!」

『いぇーい!』

 みんな喜んでくれて俺も嬉しいぞ。

「私も鍛治頑張りますね!」

 ネレも嬉しそうだ。

「家具を買いに行こう!手直しに釘や木材も」

『はい』

 ベットやテーブル、椅子などを購入し、木材や釘、あとは鍛治の道具なども購入した。

 あと俺のベットだけキングサイズになってしまった。

「これだけあれば五人でも寝れますね」

 ティリウスの意見だった。

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