「俺」がおわる前に

シエロ* Lv.15

死にたいと思った

「俺、7日後に死のうと思う。」


「......え?」


紫葵乃ちなのと通話を開始して2時間ほどが経った時、俺は思い切ってこの気持ちを打ち明けた。


「ちょっと待ってよ奏多かなた、いきなりどうしたの?」


「前から思ってたんだ。中学のときも、高校に入った今も。」


紫葵乃とは、中学生の時に大好きだったとあるゲームを通じて知り合った。


何度も通話しているから声や顔は知っているけど、実際には会ったことがない。


要するに、ネッ友ということだ。


「俺、小学生の頃から周りと比べて静かでさ。あんまり仲良い人いなかったんだよね。中学の時も友達できなかったし、なんなら少しいじめられてた。だから高校も行く気ないんだ。」


「こんな最悪な人生を過ごすくらいならさ、いっそ死んで生まれ変わったほうがいいなって思っちまって。」


「えっ......いや、でも......」


「ごめん、紫葵乃とはもっとたくさん話したいけど、それ以上に、もう疲れたんだ。」


「そうなんだ......」


紫葵乃が心配してくれているのはわかってる。だけどもう何もする気が起きないし、目標もないし、生きようなんて思えない。


だからもう俺は、梅津うめつ 奏多かなたとして生きるのは終わりだ。


輪廻転生というものが本当にあるのだとすれば、1度死んで転生してしまえば、今よりマシな、いや、今よりもっと有意義な人生を送れるかもしれない。


まぁ、人に転生できるのかどうかはわからないけどね。


それからしばらくの間、沈黙が続いた。

まぁ、急にあんな話をしたらそうなるよな。


きっと今日はもうお互いに口を開けることはなく、気づいた時には通話が切れて終わってしまうのだろう。


そう思っていた時、紫葵乃からある提案がきた。



「ねぇ、奏多。死んじゃう前に、私の住んでるとこに遊びに来ない?」


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