エピローグ
「今日の仕事が無事終われば借金はちゃら。死世に無事行けるね」
「まあ、そこがどういうとこ知らないんで喜んでいいのやら何なのか」
「いやいや、うさぎ2号。少なくともここよりはいい場所だぞ。素直に喜んどけ」
「では最後に、1つ聞いてもよろしいですか」
「おう最後だ。何でも聞け」
「ずっとはぐらかされてましたがなぜ私が2号なのですか」
「そりゃあ1号がいたからに決まってるだろう」
「いつもそういいますけど本当にいたんですか」
「いたよ。それはそれはかわいい子だったよ」
「女の子だったんですか」
「女の子と言っても君と実際の年の差は20歳くらいあるから君からしてみればおばさんかな」
「その方と会うことはできませんか」
「あー残念ながらちょうど先週死世に行っちゃったんだよね」
「向こうで会えますかね」
「それはどうかなあ。でも君ならきっと会えるような気もするよ」
「そうですかねえ」
「そろそろ起こしに行く時間だよ」
「じゃあそれでは行ってきます」
「はいはい、いってらっしゃい」
彼の姿が見えなくなった後、もうそんな頃かと神様はつぶやいた。
「おま・・・いた・・・した」
声が聞こえる。どこか懐かしいそんな声だ。
「お待たせいたしました。赤間清さんですね」
私は頷いた。まだぼんやりとしている視界。目の前に背の高い男性が立っていた。
「耳は問題ないと。次は視力だな。清さん僕の姿見えますか?」
だんだんはっきりと見えるようになってきた。目の前の男性が私に手を振っている。
「あれ、見えないのかな」
その男性はうさぎの耳を付けていた。それから紙に何やら書いている。
「あの」
私は彼に呼び掛けた。彼は私の方を向いた。
「見えます」
「ああ、よかった」
そう言って笑う蘭の顔を私は今はっきりと認識した。
死して尚きみ想う 羊糸羽己 @chacca
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