おもてとウラ

@KS-Koh

第1話 はじまりと出会い

「嫌だ!死にたくない!」

ターゲットの男が何が叫んでいるが気にしない。

私はその男の首を素早く切り落としその場を離れた。


私、凪ユキは幼い頃から暗殺だけを教えられた。赤子を改造し禁じられた能力「コード」を使うためだけに作られた存在だ。

「コード」はものによって変化するが、全て使用者の精神を汚染する。そのために私たちが精神汚染に対応するために作られた。しかし私たちでも少しはマシになった程度、完全には克服出来てない。

「ユキ、ちゃんとやってきたかい?」

「はい」

そう話すのは私の父だ。本当の父どうかは知らないが。

「いきなりですまないが次の命令だ」

めんどうなのは嫌だなと思っていると……

「学校に行ってこい」

「は?」

意味がわからない今になって学校?

私たちが住む国、オンディースでは学校がある。

確かに私は今十六歳だ、しかし行く気になれない。

「そして今回はこの女を観察し報告して欲しい。まあ無理に接触しろとは言わない」

そして父に差し出された写真はとてもキレイな茶髪を持った少女だった。

「なんでこんな少女を?」

「コードを持っている疑惑があるからだ」

この国ではコードの所持、使用を禁止されている。一時期、コードを使い精神汚染した人たちが大量に発生したからだ。そして、精神汚染に対応出来ない者はみんな廃人化した。当たり前だ、普通の人間が耐えれるはずがない。

だから生産、所持、使用が禁じられた。禁止されても裏取引はあるけどね。

「わかりました。期間は?」

「三年だ。もしこの女がコードを持っていたら殺せとは言わない。とりあえず観察だ」

「了解しました」

この時から私の人生が変わった気がした。


入学式当日、私は指定された場所に向かった。

「ここか……」

そこには大きな建物が建っていた。

周りには新入生と思われる人がたくさんいた。

「おーい、そこの君!」

後ろを振り向くとそこには金髪に青い目のイケメン?がいた。

「僕の名前はシオン・アスタール。よろしくね!」

「はぁ……」

正直、名前なんてどうでもいい。それより早く終わらせたい。

「ところで君は?」

「えっ、あっ凪ユキです」

反射的に答えてしまった。

「ユキちゃんか〜いい名前だね!それに綺麗な黒髪だね!」

「あの〜」

「ああごめんね、僕はこの国の貴族なんだ。だからいつも護衛がいるんだけど今日はいないんだよね……」

こいつバカなのか?何が言いたいんだ?そんなことより……

「じゃあ私はこれで」

私はさっさとここから離れたかった。

「ちょっと待ってよ!一緒に行こうよ!」

めんどくさいなと思いながら仕方なくついて行った。

教室に入るとそこはもうすでにたくさんの人で溢れていた。

(うわ……)

私はこういう雰囲気が苦手なのだ。静かに過ごしたいのだが……。すると私の肩に手が置かれた。

「ねぇきみもこのクラス?」

振り返るとそこにはどこかで見たことがある茶髪の少女がいた。

「うん、そうだけど」

「やっぱりそうだよね!」その少女は嬉しそうな顔をしていた。

「私はアリスティナ・クロスデックだよ。これからよろしくね!」

「……私は凪ユキ。こちらこそよろしく」

名前を聞いて思い出した。この子が今回の観察対象だ。「へぇ、ユキちゃんっていうんだ!かわいい名前だね!」

「ありがとうございます」

適当に返事をしながら席に着いた。

それからしばらくして先生が来た。

「みなさん初めまして、私はリリィ・ガーデンと言います。これから皆さんと一緒に勉強していきたいと思います。それではまず出席番号順に自己紹介をしてもらいましょう」

そう言って一人ひとり名前を言っていった。そしてついに彼女の番になった。

「はじめまして、アイリティナ・クロスデックといいます。好きなことは魔法の研究をすることです。よろしくお願いします!」

彼女が話し終わると男子たちは歓声を上げていた。しかし私は全く興味がなかった。それよりも彼女の目が頭から離れなかった。明るそうでどこか光がない目だった。それが気になりつつも他の人の自己紹介を聞き流していった。

私は名前と好きなことだけ言って終わった。

そして全員の自己紹介が終わった。

「では次に皆さんが所属される部隊を決めてもらいます」

部隊……この学園では戦闘技術や任務遂行能力を学ぶため、いくつかの部隊に振り分けられる。そしてそれぞれの部隊が訓練をするのだ。

「まずは近接系、中距離系、遠距離系の3つに分かれて下さい」

私は迷わず近距離を選んだ。理由はただ1つ。

面倒臭いからだ。

そしてすぐに部隊は決まった。

「では次に所属された部隊の隊長のところに行ってください」

そう言われ私たちはそれぞれ別れて行った。

私が行くとそこには一人の男が立っていた。

「俺はグレンだ。よろしくな」

「凪ユキです。よろしくお願いします」

「よし、それじゃあ全員の実力が知りたいから、今からテストを行う」

そして私たちの実力試験が始まった。

しかし、テストと言うより遊びのレベルだった。ただ魔法を作り、離れた的に当てるだけだ。

なのに他の生徒は、魔法を作るだけで精一杯のようだ。どれだけレベルが低いのだろうか。そんな中、私だけは違う。

私は暗殺者として育てられた。

そのため魔法を使えるように改造されている。だからこの程度の問題なら簡単に解けてしまう。

そして全てのテストが終わり、結果が発表された。

「では発表するぞ」

そして発表された結果は……

一位 凪ユキ

当然の結果だこの程度のテストで苦戦してるなら実際の戦闘では弾除けにしかならない。「すごいね!ユキちゃん!」

話しかけてきたのはもちろんアリスティナだ。

「別に大したことないよ」

「そんなことないよ!あんな難しいテストをどんどんクリアしてたじゃん!」

「たまたま運が良かったんだよ」

「またまた〜」

「本当だって」

「ふーん」

「じゃあ私はこれで」

「あっ、ちょっと待ってよ〜」

「何か用?」

「いや、特にないけど……」

「じゃあ私行くね」

これ以上話すつもりはなかった。早く帰って寝たい。

「ちょっとまってよ!」「まだなんかあるの?」

「いや、その……」

「はっきり言いったら」

「私とお友達になってくれないかな?」

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