離別と越境、あと服のサイズ

津崎飛鳥

離別と越境、あと服のサイズ

一輪の花を野端に見つけゆく海でも同じ世は変わりなく


大空に贈られる富も贈られる死も指し示すサン=テグジュペリ


絢爛の南国感覚乱反射千紫万紅とはこのことよ


戦火にて失われたとの解説が博物館にある戦後である


美しいとも思えない思えない船は喫水深めて滲む


未完成船というかく甘美なる響きわたしは生きるのが好き


救われずまた救わずにオフィーリア 水は青いと誰が言ったの


人生は美しいから人真似が上手い我らの劇の緞帳


ジョセフィーヌ愛しさとは郷愁我らは一つの陸地だったね


砕氷艦 孤独に生きよ凍る地が解けることなど知らないままに


心中と呼べば甘き結末だ言えば陳腐になると黙して


撃鉄を起こすような憤怒/あとは撃てない虚勢だけの私が


世の中の全てを恨む時すらも静かな声で彼は語りき


船底の様に濁りし眼して麗しき船錆びる赤色


それぞれの地獄がありて我ら皆等しく逝けば狂風の中


思い出はうつくしくあれ愛情も侮蔑も何もそこにあるなら


轟沈す軍艦に寄すいけにえの如く乗員生存者なし


「過ぎた過去」「思い出」「亡き友」「裂かれた恋」人間を殺すは記憶の重み


互換性の高い人生 UNIQLOのサイズアシストに記憶さる我


一切の逡巡を捨てよ、首剪らる薔薇に鼓舞され我は項垂る

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離別と越境、あと服のサイズ 津崎飛鳥 @samishira

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