第29話 この国の歴史を勉強しなければならない

 この国の歴史を勉強しなければならない。武士の生きざまこそ、この国の不文律であり慣習法であり判例法である。

 知事室を出た側近たちは顔を見合わせた。


「そもそも、知事は主君に当たるのか?」

 誰かの言葉に全員が顔を見合わせ、口を噤むのだ。


「ーー法律上は立憲君主制だから、主君は近代の絶対君主制と違って法律で権限を制限されているから……。どうなるんだ?」


「都知事は歴史を学べと言っていたぞ」


「国が興るところから学べってことだろ? 国と認められる定義ってなんだったけ?」


「それは領土、国民、主権(政府)の三つの要素が必須ですね。そして、主権に求められていることは、国益である国民の生命、財産、暮らし(インフラ)を守ることだと思うんです」


「そのために俺たちは法整備を行い、法に則って予算を執行することだろ? 今の外国人行動は国民の生命、財産、暮らしを脅かす行為があることも分かっているんだが……。国内法の適応ではなく、なぜか超法規的な対応になっているのは、国家間の問題に発展しかねないからだ。この対応に対して知事に諫言を述べるというのは……」

 考えこむ側近たち、秘書室にある応接椅子に深くもたれ込んでいた企画室長が身を乗り出した。


「日本の省庁に「常在戦場」の省庁があるじゃないですか!! 自衛隊ですよ」

「確かに、常に非常時を想定し、それに備えた国民の盾。平和主義を掲げる日本国憲法のため、批判や中傷にさらされ、評価されにくい厳しい立場でありながら、大切な人を守るために、日々精進し己の技術を磨いていう彼らの存在が求められる状態に匹敵しませんか?」


「なるほど、領土、国民の生命、財産が海外からの理不尽な侵略行為に侵されている事実に自衛隊の派遣要請は在りですな」


「災害派遣だけでなく、実際に国民の生命や財産など国益に反する行動に対して、国家として自営手段をとることになんの問題があるのか?


 だれに遠慮しているのか警察や行政の対応はすでに理不尽でグダグダだ。国として本気な所を見せる必要がある! さらに国内に百万人以上いる在日中国人や韓国人は「国防お動員法や国家情報法により有事のさいは、自国の為に働く可能性がある。


 国家からの情報提供を断ると罪に問われ、中国国内の親戚縁者も人質になりかねない。そんな民族を留学や企業に迎える危険性も想像できていないんですから」


「まったく、我々は平和ボケしていることに気が付かされます。日本国内で価値観の違う(根本的に分かり合えない場合さえある)外国人の犯罪が多発しているのに、日本人の犯罪と同じように考えて、まさに、今が非常時なんですよね」


 ソファーに座っている全員が法制局局長の顔を見た。


「自衛隊は最初は「警察予備隊」その後「保安隊」に引き継がれ、法的根拠である保安庁法に規定される任務は「わが国の平和と秩序を維持し、人命、財産を保護するため特別の必要がある場合に行動する」とされ、具体的な行動として、「命令出動」「要請出動」「海上における警備行動」「災害派遣」等が規定されています」

 法制執務のタブレットを操作しながら、法制局長は頷いた。


「日本の法を犯しているにも関わらず、正当性を主張するのはテロ行為と定義すればいい。国連憲章にも、武力行使があった場合、個別自衛権および集団的自衛権の行使してよいと定義されている。そして、武力攻撃の主体に対して何ら限定していない。相手が国家だろうがテロ組織だろうが、個人だろうが自衛権の行使できると解釈できる」


「当然ですな。日本国内に治外法権の自治区を創り足りたい放題!! いずれ日本国の中に租借地が生まれることを阻止しなければ!!」

「それでは、ここにいる全員で、下関戦争で彦島を租借地にしようとしたイギリスの要求を跳ね返した騎兵隊の高杉晋作の再来、町田知事に諫言に行きますか?」

「我々は日本の東京に恋焦がれていますから、このまま、沈んでいくのを黙って眺めている訳にはいきません」

「「「まさにそのとおり!!」」」


 秘書室のソファーに座っていた四人は顔を見合わせてうなづくと立ち上がり、知事室の方に向かって歩き出したのだ。



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To be continued

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終身雇用と年功序列、失われつつある雇用形態だが……、

封建制度の武士の時代から「御恩」と「奉公」という土地(禄)を仲立ちにした主従関係が存在していた。そして、武士の最初の明文法である御成敗式目は公家や平民に対しても平等公平に運用された。

御成敗式目は、徳のある君主による徳治政治(徳のある君主が徳をもって人民を治めるべきであるとした 孔子 の統治論に由来する 儒教 の政治理念)の実現という政治目標が根底にあったことも大きいようだ。

徳のある君主でなければ、家臣は裏切りはあっていいと武士道は認めている。

さて、今度の総裁選、話題になっているのは選択制夫婦別姓や解雇規定の議論だけど、この非常時に議論することなのか? また、それを最初に公約に掲げる候補者はどうなのか?

 元首相は、解雇規定、年金支給年齢80歳引き上げなど実質増税を援護射撃するように、後期高齢者医療の自己負担を基本1割負担から3割負担にすることを閣議決定している。

 この国の喫緊の課題の課題は

 ・南海トラフ巨大地震などの大規模自然災害

 ・台湾有事を始めとする周辺国の日本への脅威

 ・エネルギーや食料の自給などの衣食住

 ・そしてこれらを進める為の財政と経済対策

 徳ある主君なら、まずは国民が安全に平和に暮らしを阻むリスク対策を議論すべきだと考えるが……。

 中国で子どもが反日に殺されてた。非常時には在中日本人すべてが人質になりかねない。日本は内外に弱みを晒し、国内を放りだし外国に補助金を配りまくり、全方位土下座外交を今日も繰り返している。


 新たな総裁が誕生した。この人はどんな政治を行うのか? 今度こそ名君であってほしいものです。

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少子化対策なのに子育て支援のバラマキ?経済対策なのに給付金のバラマキ? いい加減政治に突っ込ませてもらおう:パラレルワールドからの造反! 天津 虹 @yfa22359

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