【第四回】 雛禽の空棋 ―꒰ঌℍ𝕚𝕟𝕒𝕕𝕠𝕣𝕚 𝕟𝕠 𝕊𝕠𝕣𝕒𝕘𝕚໒꒱―

 今回は、鳥兎子 様の「雛禽の空棋 ―꒰ঌℍ𝕚𝕟𝕒𝕕𝕠𝕣𝕚 𝕟𝕠 𝕊𝕠𝕣𝕒𝕘𝕚໒꒱―」をレビューします。


 作品はこちらです↓


 https://kakuyomu.jp/works/16817330657433190155



 それでは読んでいきましょう! よろしくお願いします!



 ***



 タイトルの「雛禽」が読めませんでしたが、後ろのローマ字(?)で理解笑



 ジャンルは異世界ファンタジーで、タグを見ると将棋が大きく関わってくる物語のようです。バトルものみたいですが、全く予想がつかない未知の世界の作品です。



 紹介文はあらすじに加え、空将棋と禽将棋の説明があります。どっちも初めて見るワードですが、どうやら頭の良い人たちの戦いになりそう……?

 頑張ってついていきます。



 私も将棋ど素人なので、その目線からの感想を書ければと思います。



 ***



【一話目】第一羽໒꒱ 黎明への孵化


 エピソードの数え方が「羽」!? 個性全開で良いですね。あらすじにもあるように主人公は鳥なのでしょうか。



 卵から生まれるだけなのにすごい迫力! なぜこんなことになっているかはまだわかりませんが、丁寧な描写によって一気に物語の世界に引き込まれました。


 情景描写が素晴らしいですね。映像を見ているような爽快さを感じられます。


 “僕”はなんだか神聖な雰囲気を漂わせていますね。


 「」、性別がない……?



 専門用語が数多く出てきましたが、どれも重要そうなので覚えられるか心配……


 「✼•攻〖ようきじ〗•┈☖2三雉┈•【いんきじ】防•✼」からは場面が「戦場」に移ったということですね。


 一人称視点から三人称視点に切り替わったので、最初どうなっているのか把握できませんでしたが、読み進めると理解できました。



 将棋で負けた方が“死ぬ”か“仲間を裏切るか”を選ぶ、ということでしょうか。何のためにそのようなことをしているのか気になります。



 “僕”はまだ状況を全然理解できていない様子ですね。彼の置かれている立場も気になるところです。



 カタカナルビがかっこいいですね。私にはないセンスです。



 地の文で度々出てくる感嘆符ですが、“僕”の印象に強く残ったことを表すのに用いられているのかなと思いましたが、合ってるかな?

 いぜれにせよ、一人称視点であるからこそ輝く表現だと思いました。



 「〖陽ノ天守閣〗へ舞い降りた~」のところは字下げミスでしょうか。



 「二閃の気魄きはくが僕の頬を掠めて」、すごい表現ですね。力強さが伝わってきます。



 描写は一つ一つ挙げていくときりがないほど美しいですが、展開というか、今のところ何がどうなっているかがはっきりと掴めません。たぶん、人名が多すぎて相関図が私の中でまとまっていないからだと思いますが、それでもこの世界のことをもっと知りたくなるような魅力はあります。



 「眼前に迫る銀の凶器に~」ですが、誉鷹シゲタカが“僕”をかばったということでしょうか?



 今のところ将棋要素よりもバトル要素の方が強いですね。

 


「(実際に誉鷹シゲタカはクスクスと笑っている)」は一人称視点にしては斬新な表現ですね。


 “僕”は子供っぽいというか、かわいらしい性格をしていますね。見た目もきっと可愛いんだろうなと鵬飛ユキトの様子を見て思いました。



 「雛禽ひなどりの僕がまた飛べない、明けゆく蒼穹へ。」ですが、字下げがないのと、“僕が飛べない”の誤りでしょうか。



 この作品は独特な表現が多用されているので、こだわりにツッコんでしまっている可能性がありますが、読んでいて気になったところを書いています。



 “僕”が異端な存在であることは周りの人間(禽?)はよく知っていそうですが、“僕”自身はその自覚というか、記憶? すらもない様子。

 続きを読みたい!




【二話目】第二羽໒꒱ 繋ぐ飛翔


 やっぱりエピソードの数え方いいですね笑

 どういうこと!? って思いながらもクスっとしてしまいます。



 “僕”がどんな見た目なのか、ちょうど気になっていたところに鏡がありました。



 身長(体の大きさ)についても知りたい……と思っていたらそこも説明してくれました。私の心読んでます?



 羅鶴ラカク誉鷹シゲタカの関係性、だんだんわかってきました。

 「盤上の戦」が始まったことによって離れ離れになってしまった人々(禽々?)。

 戦うことは勝ち負けよりもずっと大切な目的のあるものだということ。悲しみを抱えた背景があるんですね。



 “僕”が可愛いですね。これもう女の子じゃないか!


 

 「青ざめていく僕の首に~」とありますが、この“青ざめる”は“僕”からは見えない視覚情報なので、別の言葉で表せるともっと良くなりそうです。

 とはいえ、明らかに青ざめていると“僕”が確信しているのであれば、言い切るのもありなのでしょうか。



 とんでもなく今更ですが、鵬飛ユキト鵬美トモミに同じ字が使われているのが良いですね。「『駒名が同じ者は、同種族』」とあるように、今後も名前の漢字によるいろいろな展開やミスリードができそうで、シンプルながらも上手い設定だと思いました。



 「馬鹿だけど~」からの流れるような展開、この表現が正しいかわかりませんが、落語を聞いているような感覚になりました。単純に話が上手ですね。



 「濡れたくろに吸い込まれる、冷たい夜の『虚無』」は、涙残る瞳に夜が映ったということですよね? 表現力すごすぎませんか……



 「〖燕前線つばめぜんせん】」の閉じ括弧が表記ミスかと思ったら、「【陰】と〖陽〗」の境目にあたる位置ということなんですね。細かいところにも大きなこだわりがうかがえます。



 答えてくれる羅鶴ラカク、確かに親切ですよね。

 私が思ったことを“僕”が都度代弁してくれるのでスッキリします。



 鳥の力強い羽ばたきで顔をぶたれるの痛そう……



 “僕”のツッコミ&解説染みた心の声がコミカルで好きです。



 「『アンタの熱烈なさえずり』」、鳥らしさが溢れるセリフですね。



  ***



 レビューとは関係ないですが、ちょっと気になったことがあるので書きますね。

 私はレビューを書くときに、スマホで作品を読みながらPCでリアルタイムで入力して、引用する際はPCの別のタブから作品を開いてコピペしています。


 で、スマホで読んでいて、すべての「粆燕」の「粆」だけがゴシック体になっていることに気づいたんです。“太字”と言った方が正確かもしれません。


「まさかこんなところにまでこだわりが!?」


 と思い、PCの画面を確認したところ、PC上では普通に明朝体で表記されていました。


 そもそもゴシック体と明朝体って同時に使用できませんよね?

 スマホの画面での文字化けみたいなものかもしれませんね。


 マジで全く関係ない話ですみませんでした。どうしても言いたかったんじゃ……



 ***



 戦闘描写も躍動感あって心地いいですし、キャラクターの茶目っ気のある振る舞いにも好感が持てます。



 “僕”が飛びそう……! これが巣立ちというやつでしょうか。




【三話目】第三羽໒꒱ 空虚の卵


 巣立ちというやつでした。



 「ある瞬間、煽られた~」の段落で最後にまた「瞬間」という言葉が出てくるので、どちらか一つを別の言葉に変えると良いかもしれません。



 「非常にヤバッ!」、なんか好きです笑



 “僕”を助けてくれた少女、なかなか癖のある見た目をしていますね。



 鵬美トモミに会えるかもしれない……! そして“僕”が「生まれた理由わけ」とは。

 さらに盛り上がってきましたね。



 「睫毛を伏せた」、素晴らしい表現ですね。


 ようやく鵬美トモミに会えるかと思いきや、登場したのは影武者。

 しかし、その背後には本物の鵬美トモミの姿が……!

 けれどもそれは掛け軸に描かれたただの絵だった。

 

 この一連の流れで私の予想を二回も裏切られ、そうきたかと心を揺さぶられました。その良い意味の裏切りを手助けしているのは、キャラクター一人一人に設けられた丁寧な外見描写でしょう。「」の人物にも今までと同等の細かい表現がなされることで、“今度こそ本物だ”と、読者に誤解させることができているのかなと思いました。



 手紙の内容から、この世界のことが少しづつわかってきました。

 

 “僕”がどっち付かずな立場であることも要因かもしれませんが、【陰】と〖陽〗のどちらか一方に情を肩入れするような構成ではないというのが良いですね。いつか平和が訪れてほしいものです。



 「『空を滅する為』」、それゆえの鳥なのですね。深い。



 大きな選択を迫られる“僕”。何者にも委ねられない難しさをどう乗り越えていくのでしょうか。




 前半はここまでです! ありがとうございました!

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