【第四回 その2】 雛禽の空棋 ―꒰ঌℍ𝕚𝕟𝕒𝕕𝕠𝕣𝕚 𝕟𝕠 𝕊𝕠𝕣𝕒𝕘𝕚໒꒱―

 後半です。よろしくお願いします!



【四話目】第四羽໒꒱ 雷鳴に出でよ


 相変わらず“僕”が可愛いんだよなあ……



 本当に読解力が貧弱で申し訳ないのですが、この物語は登場人物が将棋で戦うというより、登場人物自体が駒であり、読者は“盤上で行われているゲームにストーリー性を持たせたもの”をその世界に入り込んで観ているということなんですね。

 紹介文にもそう書いてあるじゃん……

 ここまで読み進めた後に紹介文を読むと、あ、そういうことかと納得しました。



 会話がおしゃれで楽しいですね。特に誉鷹シゲタカと“僕”の皮肉混じりの会話。



 やはり戦闘描写が丁寧なうえ、鵬飛ユキト鏡鶉ミシュンの会話の中で、重要なことを説明くさくなく押さえていますね。



 “僕”の叫びの表現すごい笑 閲覧する媒体によって表れ方が異なりそうですね。



 「突き飛ばされた誉鷹シゲタカは~」の一文ですが、ここだけ三人称っぽいですね。視点が誉鷹シゲタカに切り替わったように感じました。



 敗北した鏡鶉ミシュンに、感情が強く動かされます。アニメで観てみたい。そして共に泣きたい。




【五話目】第五羽໒꒱ 裏切り者には生を


 なんだか将棋っぽい考え方になってきましたね。最善手を打つために駒をどう揃え、使役していくか。戦略的な観点からも面白さが見えてきました。



 「中性ぼくの身体」には一体ナニがあるんですか!? ないんですか!? 妄想が膨らみます。



 鶴麻タヅマに対する“僕”の辛辣さにクスっとしました。


 「それは嬉しいナ」、棒読みで答えてるんだろうなあ。



 “僕”の明確な強さは今のところ出てきていませんが、かなり強そうですね。「いかづち」を放って檻を破壊したところで強キャラを感じました。



 戦闘シーンの疾走感がたまりません。動きは細かく描写されているのに、あっという間に終わるという読みやすさがあります。



 「鶉壱ダンイチが約立たずで!」は、“立たず”の変換ミスでしょうか。と思ったのですが、この漢字の使い方もあるっぽい……?

 調べてみましたがすぐには分かりませんでした。


 鶴麻タヅマの狂気に満ちた言動。細い剣とはいえ、それを口で噛みつきへし折る力強さも恐ろしいですね……



 「✼••┈☗2二雄鶴┈••✼」などの局面を表す表記が増えてきましたが、あまり理解できていなくても大丈夫でしょうか。位置関係のメモをとりながら読むと面白さが倍増するのかもしれませんが、なかなか難しいですね。




【六話目】第六羽໒꒱ 散るは、桜か紅葉か


 粆燕サエンが「成った」!? 将棋だからそういう展開もできるんですね。奥が深くて面白いです。



 第五羽の「雨夜晴れ、月光冠げっこうかんが生誕する」から三人称視点(神視点要素もある?)になっていますよね? “僕”がしばらく出てきていないのと、地の文に主観がないのでわかりましたが、読者によっては“今、主人公はどこにいるの?”と戸惑ってしまうことがあるかもしれません。

 その理由は、どこで起こっている戦いなのかがわかりづらいからだと思います。“僕”からどれくらい離れている場所の出来事なのかがはっきりすると、もっと鮮明にイメージできる気がします。



 粆燕サエンのキャラがすごい!笑

 駒名や武器、服装などから古風な世界観かと思えば、セリフ(口調・言葉遣い)や横文字の多さから意外と現代っぽいところもあるんですよね。

 異世界ならではの硬さと緩さが表れていますね。



 「醒めた鶴麻タヅマによって」の、「醒めた」は薬を使ったということですかね? 行動を描かなくても“こうしたんだろうな”とわかります。



 「髑髏しゃれこうべが歯軋りで祝うが如く、悦びの金属音を震わせ、鳴る」。表現がすごすぎる! 独特な言い回しなのに音が聞こえてきます。



 もはや鶴麻タヅマの独壇場。変なやつだと遠巻きに見ていた彼のことがかっこよく思えてきました。



 鶴麻タヅマに説教された誉鷹シゲタカのこれからの生き方にも注目ですね。



 「白皙の指先は届くこと無く下ろさされた」は、“さ”が衍字です。



 最後の展開は……!?

 誰に向けたメッセージなのでしょうか。続きが気になります。



 ***



 総括です! 心理・情景・戦闘・セリフなど、あらゆる描写が丁寧かつ、オリジナリティー溢れる作品です。話数のカウントとか笑


 視覚はもちろんのこと、聴覚や嗅覚にまでアクセスしてくる映像のような文章は迫力・テンポの良さともに優れており、読んでいて楽しくなります。

 特に素晴らしいと思ったのが、キャラクターの容姿の表現力です。それぞれに象徴的な細かい“色”が設けられているほか、髪形や眼、武器に用いられるカタカナルビがとてもおしゃれです。

 その情報量の多さを活かし、再登場させる際、初めに印象付けた表現をそのまま使うことで、読者に思い出させる&さらに印象付けさせるということに成功していると思います。


 ただ、キャラクターが多い→名前が多く出てくるため、一度読んだだけでは「これ誰だっけ?」となることもあるかと思います。

 ですが、二週目を読んでいくと、この作品に対する理解はグンと深まり、より一層味わい深い物語になっていくのでしょう。あまり考えず気軽に読みたい読者には刺さりが良くないかも……?

 全体像を把握するのには時間がかかりますが、それだけ壮大な設定があるということです。


 展開も予想外なところを攻めてきたり、将棋っぽさを感じる構成で面白いです。



 星は3つです。未知の世界すぎて私にはただただ「すごい」の一言です。



 今回は以上になります! ありがとうございました!




 作者様、本当に将棋ド素人なんでしょうか……

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