読書感想文はいいぞ

ユウグレムシ

 

 最近、ユーザー企画ページを覗いては、「感想が欲しい人集まれ」系の企画に寄稿された作品達を拝読し、ゲリラ的にコメントを残している。

 初めて自分が主催したユーザー企画は、応募順に30本ほど感想を述べるというものだったのだが、たった30本でも、それぞれ作者様の魂が籠もった文章だから、応募作品全てに対して責任を持つのがしんどかった。面白い作品ほど、しんどかった。やはり自分には、他人様のユーザー企画にふらりと立ち寄るほうが性に合っている。


 でもコメントはやめられない。

 しんどいと分かっていても、たまに感想を書きたくなる。


 簡単な命令を与えるだけで小説みたいなものを書いてみせるアプリが登場してから、「読書感想文なんて意味ない」という輩がうるさくなってきた気がする。感想なんてAIでも書ける、教師が喜びそうな嘘っぱちを並べ立てればいい、文系の書く文章には無駄が多すぎる、言葉は道具だ、手段だ、学校ではもっと将来の金儲けに役立つことを教えるべきだエトセトラ……。

 こんな論調を見ていると、自分は心穏やかではいられない。夏休みの宿題で感想文を書くのが苦痛だった人達、本が嫌いな人達は、そのまま勝手に本も感想も嫌いでいればいいと思うが、感想なんて嘘っぱちだと思ってる奴らが世にあふれ、それが常識になる未来を考えると気分が滅入ってくる。なぜなら感想なんて嘘っぱちだからだよ!!


 「面白かったです!」なんて、面白かったと思ってなくても書ける。ひと文字も目を通さなくたって書ける。自分の思考が他人にバレない以上、そもそも人間のすることは何もかも嘘っぱちである。しかし嘘っぱちだと認めてしまっていいのか?

 小説。お絵描き。プログラミング。AIのほうが効率がいいからといって何でもAI任せとなると、すべてをAIに任せているあいだ人間は何をするのだろうか?意味ないものはやめろ的な論調の人達は、意味ないものをどんどんやめて全自動化していった果てでは人類は何も感じず思わず考えず寝てるだけになり自滅が早まるということが分かっていない。それよか効率が悪くても嘘っぱちかもしれなくても書きたいと思ったことを書きながら、ゆっくりと自滅の道を歩むほうが自分は楽しい。

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