第18話 下校⑨【未来】

「いやー、学校の雰囲気はいつまで変わらないね〜。って、ほら勝負に負けたからってしょげないのっ」


「けど、誰が最初にプリンに醤油をかけるとウニっぽいとか言い出したんだろうね。⋯⋯というよりは、当たり前のようにお寿司屋さんでデザートがあるのも違和感かも」


「そうだね。美味しければいいよね。───ね、寄り道しようよ。⋯⋯駄菓子屋さん、まだやってるといいな」


「あの子にもさ、私たちの思い出の味ってやつを食べさせてあげたいんだよね。で、これは親としての願いだけど、私たちみたいに、友達と思い出作ってほしいなって」


「あ、もちろん今日は麩菓子を大人買いするから覚悟してね? ⋯⋯って、あれ?お店ってそこだったよね?」


「⋯⋯そっか。私たちが立ち寄らないから潰れちゃったのかな」


「大丈夫、ありがとう。───って、そこお店の人の家だよね!? キミッ!」


「⋯⋯はぁ。ほんと、キミって昔からたまにとんでもない行動力をたまに見せるよね。⋯⋯しかも私のためときたもんだから困ったもんだ」


「あそこのお婆ちゃん、もう歳だったもんね。寂しいけど仕方がないか。息子さんがショッピングモールでやってて、店の片隅に駄菓子コーナーを残してるって知れたし、今度行こうね」


「ん? キミ、帰り道はこっちだよね? どこいく気?」


「あ、たい焼き屋さんだ。こっちはまだやってたんだね。⋯⋯って、なんでキミがほっとしてるの」


「あはは、なんだ〜。あの時のことを思い出してくれただけで、お店がどうなってたかはキミも知らなかったんだ」


「あのっ、すみません。鯛焼き 1つ下さい。はい、つぶあんでお願いします。───ありがとうございます」


「⋯⋯なんでキミは笑ってるのかな? はいはい、どうせ私はお婆ちゃんみたいですよーだ」


「キミ、笑いすぎ! だけど⋯⋯あはは、そんなこともあったっけ」


「公園はあの子を連れて行く前に取り壊されちゃったんだよね。仕方がないし、帰りながら食べよっか。はい、半分こ」


「ほんと、通学路って思い出だらけだよね。変わったもの、変わらないものはあるけどさ、それを今も、キミと見てることも大切な思い出だね」


「なあに? ⋯⋯キミ、疲れたの? まだ家は先だよ? ほら、競争するよ。私は全力で走るから、キミも全力できてね? ───まだまだ長い人生なんだからさ、いつだって私は全力で生きてるし、キミに対してこれからもずっと全力で向き合っていくよ」


「──────隣をいつまでもずっと歩いてほしい。そんなキミの想いに私は応えれてるかな? ほら、見える? あそこにサボテン飾ってあるのキミは気付いてた? ───キミがくれたサボテンの花言葉は"枯れない愛"なんだよ。だから、私も水をあげるの。その想いに報いたいから」


「我が家に到着です。ただいま──────、それとおかえりなさい」

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全力女子との登下校 〜私はいつでも全力だよ?〜 たっきゅん @takkyun

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