野宿

 という訳で近くの森に来た。


 うーん空気が美味しぃー!


 森のいいところの一つだな。


「んじゃ、準備しよう」


【収集】という魔法を発動して、木の枝なんかを集める。


 この魔法の効果は単純で、集めたい物を思いながら発動するとその集めたいものが集まってくる。


 街中で使うと大惨事になるから使えないのはネックだけど、こういう場所なら心置きなく使える。


「よーし結構木の枝集まったなー」


 空気が通りやすいように木の枝を置いて、普通に【炎魔法】で火をつける。


【炎魔法】はただ単に火を出せるってだけの魔法だ。


 便利ではあるんだけどね。


 さてと、残り一週間ねぇー。


 魔物を倒して過ごすか?


 素材売ったりとかして紙とインク買わないと。


 よし、そうと決まれば魔物を探そう。


 この森には低ランクの魔物がいるって書いたあった気がするから……ま、そういう魔物を10体くらい倒せば良いかな?


 炎を中心に円形状に探索する。


「フゴッ、フゴゴッ!」


 おっ、魔物がいた!


 見た目は……猪っぽいな。


 ただ牙みたいなのが凄いデカい。


 あれに刺されたら……おお怖い怖い。


 気配を消して近くに寄る。


「フゴッ!?」


 背後から剣で猪の首を斬る。


 ほっ、剣の斬れ味落ちてなくて良かったー。


 取り敢えず一体目撃破。


 いやー、7000年ぶりの肉だ。


 というかお腹大丈夫かな? 食べ物入ってびっくりしないかな?


 で、でもさっきからこの炎で焼かれてる肉の匂いのせいで腹が減って仕方ない。


 おぉう……早く焼けてくれ……。


 あっ、因みに普通は魔物の肉は食べれないから良い子は真似しない事。


 魔物の肉に耐性が付いてる俺だからできる事だからね。


「そろそろ良いかな?」


 少し焦げちゃったけど全然美味しそうだ。


「んじゃいただきまーす」


 ガブリ、とかじり付く。


「んぉ!?」


 美味い! 7000年前の魔物よりもずっと美味い!


 なんだこれ品種改良でもされたのか!?


 うう……良い時代になったなぁ……。


 昔の魔物は魔法で無味無臭にしないと食えないほどだったからな……。


 あっという間に全部食べ終わる。


 因みに、この猪から取れた大きな牙は近くの木に立てかけてある。


 これどーしよっかなぁー。


 ま、取り敢えずこのまま放置でいいか。


【収納】発動しても良いんだけど……まあ、かさばりますし。


【収納】というのは……まあ、なんか空間に穴を開けてそこに色々入れられるって魔法だ。


 原理はよくわからん。というか、魔法に原理とか求めても意味無いと思う。


 その後も一日一匹ずつ美味しく頂いて、四日目になった。


 そろそろ紙とインクを買うとしよう。


 一応【収納】の中を探したが、生憎あいにく魔法陣用紙しかなかった。


 この紙に魔法陣以外を書くと大爆発するから使えない。


 まあインクが無いからどちらにしても書けないんだけどね。


「よーし、行くか!」


【ワープ】を発動して王国に降り立つ。


 てかここは王国のどこなんだろう?


 東側なのは分かってるんだが、名前が分からん。


 流石に7000年前と同じってことはないでしょ。


 地図で見たはずなんだけどもう覚えてないや。


 取り敢えず紙はどこで買えるのかな?


 ふくろう屋に行けば良いかな?


 あぁーでも7000年も経ってたら梟屋とかなさそーだな。


 梟に言伝ことづてを言って貰ったりはもうしてなさそうだな。


 うーん、どうしたものか。


 自分で作っても良いんだけど……面倒くさい。


 ちょっと道行く人に聞いてみるか。


「あのぉ〜」

「はい?」


 取り敢えず目の前にいたので話しかける。


 銀髪で目立ってたっていうのもあるけど。


「紙とインクを買うにはどうしたら良いんですかね?」


「紙とインク? もしかしてアルティア学園の試験を受ける為に?」


「あぁ、そうなんですよ」


「実は私も何です。一緒に買いに行きません?」


「良いですよ」


 そう言って俺らはお店まで歩き始めた。


 

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封印勇者 〜 何千年も封印されてたせいで現代の事がサッパリなので、学校に通って色々学びたいと思います! 〜 鬼来 菊 @kikkukiku

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