学園見学

 学園……ねぇ……。


 今の世の中を知るには学園に行くのが良いかもしれない。


 何せ数千年だ。


 基礎の基礎すら変わってるかもしれない。


 よし、せっかく図書館にいるんだしアルティア学園について調べてみるか。


 アルティア学園と背表紙に書かれた本を片っ端から取っていく。


 け、結構量あるなぁ〜。


 パラパラとページをめくる。


「……なるほど」


 俺はこのパラパラで内容が分かる。


 速読という読み方だ。


 このやり方のおかげで長くても10秒ほどで本が読める。


 何十冊も重なった本を下からスッと取り出す。


 ……なんかテーブルクロス引きみたいな感じだ。


 取り出した本をパラパラと読んで反対側に積み上げる。


 訳10分で100冊は読み終えた。


「お客様、その……読むならちゃんと読んで下さい」


「え? いや読んでますよ?」


「は?」


 係員が変な顔になる。


「読んでいる……って5秒くらいパラパラページをめくっているだけですよね?」


「そのパラパラしている間に読んでるんです」


「そ、そんな事出来るんですか?」


「出来ますよ。何なら内容言いましょうか?」


「だ、大丈夫です。読み終わった本は借りるか元の位置にお戻し下さいませ」


 そう言って係員は受付に戻って行った。


 こ……怖かったなぁー。


 取り敢えずこの本達を読んで分かったことが二つある。


 一つ目は、この学園はかなーり入るのが難しいらしい。


 ただその代わり入ればどんな学園よりも高待遇を受けられるらしい。


 二つ目は、色んな大会で優勝しまくっているという事だ。


 さっき見たニュースで魔法大会優勝と出ていたように剣の大会や弓の大会なんかでも優勝している。


 取り敢えず相当凄い学園が分かった。


「なら入学してみるか」


 一応俺の年齢的にも入って問題はない。


 封印されてた年月を考えれば7000歳を超えるという森人族エルフもビックリな年齢だが、封印されてた時間を無視するならば俺は普通に17歳だ。


 17歳なのに俺魔王討伐を任されたんだよなぁー。


 ま、17歳でも少し年齢を偽れば入れるだろう。


「早速向かうか」


 地図を見てアルティア学園がある方向に向かう。


 勿論今すぐ試験が受けられる訳がないので一旦外観でも見る事にした。


 というか試験はいつだ? というか受けられるのか?


 今すぐ受けたいと申請すれば行けるかもしれない。


「なら急ごう」


 そう言って走って向かった。





⬛︎





 学園に着いて一言。


「……すっご」


 デカいとしか言いようがない。


 王宮かここは?


 さすが未来、建造物も凄い事になってるな。


 取り敢えず試験を受けるには……いや待て今ってその時期なのか?


 き、聞いてみるしか無いか。


 警備員っぽい人に声をかける。


「す、すいませ〜ん」


「ん? 何だ?」


「この学校に入りたいんですけど、試験っていつくらいに出来るんですかね?」


「あー、お前も入学したいってたちか」


「え?」


「やめとけやめとけ、ここの試験バカむずいから」


 いやまあ確かにこの校舎を見たら分かるけどね……。


「でも受けちゃダメって訳じゃないはずです」


「そりゃあそうだけどよ……」


「どうか受け方と時期を教えて下さい!」


「……はぁ〜」


 そう言うと警備員さんは教えてくれた。


 時期は訳一週間後、八月の最終日前にやるのは意外だったが、ま、未来だし時期とかも変わってるんだろうな。


 そして受け方は学園に試験を受けたいと言う手紙を出せば受けられるそうだ。


 すっごい簡単。


 早速宿にでも行って手紙を出すとしよう。


「ありがとうございました」


「頑張れよー」


 んじゃあ宿に…………俺、金無いや。


 てかあったとしても数千年前の金なんて使える訳ない。


 1週間どうやって過ごそう?


 ……野宿するか。


 勇者やってた時は野宿が当たり前だったので慣れている。


「じゃ、森とかに行って木の棒でも集めてくるか」


 そう言いながら先ほど見た地図を思い出しつつ森へ向かった。


 

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