封印の解除
ペリ
……ん? 今なんか音しなかったか?
……気のせいか。
ペリペリペリペリ
いやめっちゃ音してるなぁ!
もしや、封印解けてきてる?
ちょ、マジで? やっと?
なら体を動かしてみるか。
封印されてたせいで動けなかったからな。
グググーと右に上半身を動かそうとする。
……体動かさなかったせいでどうやって動かしたら良いのか分からん。
筋肉ってどうやって動かすんだっけ?
こう……力を込めると……?
あででででででで! 変な方に曲がった!
ふぅ〜……痛かった。
おっ、段々と包帯が剥がれて視界が明るくなってきたな。
うおぉ!? 眩しッ!
日光ってこんな眩しかったっけなー?
いや、目が慣れてないだけか。
包帯が完全に取れる。
あらら、灰になっちってるな。
封印される時に身にいた装備は、封印された時と同じ状態っぽいな。
良かったー!
お気に入りのやつだから無くなってたら少し悲しかったわ。
んで、ここはどこだ?
まあ封印されてから数百年くらいは経ってそうだしどっかの町とかは変わってそうだなぁー。
一応俺は今遺跡っぽいとこの中にいる。
天井に穴が空いてて光が差しているが、明かりはそれだけだ。
取り敢えず出るとするか。
扉はどこだー?
……あぁーあったあった。ツタが凄すぎて一見分かんなかったわ。
手でぐぅーっと押してみる。
……まだ力の入れ方がよく分かんないなぁー。
前に突き出す感じ……だよな?
「ぐぅぅ〜!」
開かない。
結構力入れたんだけどなぁー。
魔法で開けるか。
「【開放】」
おっ、扉が開いた。
ツタがミチミチと後を立てて千切れてってる…………けっ、結構でかい扉だったんだな。
まあ何はともあれ開いた訳だし出るとしよう!
さぁーて、数百年ぶりの世界だ!
どんな風になってるんだ!?
走って外に出ると平原に出た。
「あぁー空気が美味い!」
遺跡の中の空気埃っぽかったからマジで美味い!
「取り敢えずこれからどーするか、ここがどこなのかも分からないしなぁー」
遺跡は平原にポツンってあるだけだから目印とかは無い。
……どうする俺?
取り敢えず【ワープ】とかして王国にでも行くか。
あの王国はかなりの大国だったし、数百年ぐらいじゃ滅びて無いだろ。
「【ワープ】!」
そう唱えた瞬間に景色が変わった。
よーし、ワープ成功。
魔法のコツはまだちゃんと掴めてるっぽいな。
いやでも【ワープ】基礎魔法とはいえ便利だなぁー。
一瞬で移動できるし。
取り敢えず、ここがどんな国になったのか観光と行きますか。
まずはどんな所に行くか。
……そうだ、今の世界を知りたいし、図書館にでも行こう。
確か大図書館がこの国にはあったはず。そこに行こう。
古い木で出来た図書館に入る。
「スゥー」
おお、同じ香りだ!
凄い、こんな年月が経っても香りが変わらないなんて!
「お客様、何かお探しでしょうか?」
「あ、えーと……」
そうだ、今が何年か聞いて……いやそれじゃあただの変人か。
じゃあ……
「1番最新の新聞ってありますか?」
「新……聞……?」
あぁーこの世界に新聞無いのか!
「えと……最新の情報を見たいんですけど、どこに行けば良いですかね?」
「それでしたら、この通路を右に曲がった先にニュースブックがありますのでそれをお読み下さい」
「あ、ありがとうございます」
ニュ、ニュースブック? 聞いた事ないな……
いや当たり前か、何百年か経ってるだろうし。
「お、これかな?」
ニュースブックと背表紙に書かれた本を手に取る。
「これ一体どうやってページを追加……あぁ、【コピー】と【接着】使えば簡単か」
さてと、一番新しいページはと。
『8539年 8月 23日』
……………………は?
俺がいた時代は……確か1221年だったはず。
ちょ、ちょっと待て、つまり俺、7318年間も封印されてたって事か?
数百年どころか数千年単位じゃねぇか!
試しにその日のニュースを見てみる。
『アルティア学園、またもや魔法大会優勝!』
…………ほう?
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