第2話 転生の選択
「ユウトさんには黄泉帰りの権利がありますが、いかがいたしますか?」
トラックに撥ねられたせいで僕の耳がお釈迦になっているのだろうか。
それともこれは夢で本当は死んでいないのかもしれない。
「黄泉帰りというより、転生という方が分かりやすいでしょうか?」
クルーさんの普段通り感を見ると、どうやらこれが現実らしい。
異世界にでも転生できるのだろうか。剣と魔法の世界に行くのもありだし、イケメンや美女に生まれる人生も歩んでみたい。
そんな僕の期待を切り裂くようにクルーさんは続ける。
「まあ、亡くなった方は皆さん転生してるんですけどね。」
なんてこった。自分だけの特権だと思ってたのが恥ずかしい。
クルーさん曰く、亡くなった生物はランダムで何かに生まれ変わるらしい。
人間になることもあれば、動植物になることもあるらしいが、ここは地球の天国なので、異世界に行くことはできないらしい。
「ですが、ユウトさんは人助けで亡くなられたので、次の人生を選ぶことができます。具体的には次になる種、地域、時代を選ぶことができます。そしてご希望ならば前世の記憶を残したまま転生することも可能です。」
種、地域、時代を選べるか。例え人間に生まれ変わってもイケメンになれるかは運次第ってことか。
ちょっと待てよ。時代を選べるということは生前夢に見た”人生2周目”ができるんじゃないか?
「人生2周目ですか。可能は可能ですよ。」
回りくどい言い方をするクルーさんに少し違和感を抱きながらも、僕は”人生2周目”を即決した。25年で培った知識と記憶を頼りに次の人生では無双してやる。
「では、素敵な次の人生を。」
クルーさんの別れの言葉を聞き、僕の記憶は少しずつ薄れていく。
「次も長生きできると良いですね。」
人生2周目もハードモードです。 くれぱす @kurepasu_26
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