人生2周目もハードモードです。

くれぱす

第1話 僕は死んだ

享年25年。僕は死んだ。

塾帰りの高校生を居眠りトラックから助けた代わりに撥ねられたらしい。

困った人を颯爽と救うヒーローに憧れもあったけど、自分が命を落としてしまったら意味がない。

まあこんな言い方も何だが、今まで何となく人や時代に流されて生きてきた自分にとって、少しは華やかな最期だったかもな。

漫画やアニメでは神様の声でも聞こえてきて、異世界転生したりもするけど、ここは現実世界だ。

死んだらどうなるかなんて誰にも分からない。

人助けで死んだことだし、天国に行けるといいな。




「・・・!」「・・・!」


「ユウトさん!ユウトさん!」


誰かに呼ばれて飛び起きると、そこには60代くらいのスーツを着た男性がいた。

僕は死んだはずじゃ。そしてこの人は誰だろう。

「おはようございます。私はクルーと申します。ユウトさんはトラックに撥ねられ亡くなられたので、私たちの住む世界、皆さんが言うところの”天国”に来たのですよ」

ここが天国か。生前イメージしたような辺り一面真っ白で、時々見切れる子供たちは天使だろうか。実際に天国があったことは朗報だ。まあ死んでしまった今となってはあまり関係ないことだけど。


それから僕はクルーさんに天国について色々と教えてもらった。

天国には通貨はなく、衣食住や娯楽はクルーさんや天使たちがお世話してくれるらしい。こんなに良い所ならもっと早く来ても良かったかもしれない。


「そして最後に一番大切な話があります」

クルーさんが襟を正し、ネクタイを直しながら振り返る。

「ユウトさんには黄泉帰りの権利がありますが、いかがいたしますか?」


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