好きな人と縁を切った話。

第3話 好きな人と縁を切りました。

ライブから2ヶ月が経った。

その間も毎日連絡をとっていたし、2週間に1回程度、ご飯に行っていた。

最近は眠ることができないうえに、感情がジェットコースターみたいに乱高下していた。

とてもじゃないが、まともな状態ではない。

唯一良かったことは、転職活動が成功したことだ。

しかし、今は転職活動よりも佐藤のことの方が僕にとっては重要だ。

佐藤と会う前日は、1時間程度しか眠ることができない。なので、朝起きると肌が荒れていて、佐藤にどんなふうに思われるのかを心配するところから始まるのがお決まりだ。

辛い。

告白する勇気がない。

この関係を壊したくない。

心から人を好きになってしまった。

けど、彼氏もいるし、告白して成功する未来が全くみれない。

こんな不安定な状態でまた佐藤に会うことになった。

覚悟を決めた。

食事をした帰り道。

「なあ、話があるんやけど」

「ん？何？」

1分の沈黙。

「佐藤のことが好き」

「え？」

「だから、今日で縁を切りたい」

「え？え？どうゆうこと？」

「ごめん、変なこと言って」

「だからどういうこと！縁切りたいって」

「好きすぎて辛いから縁を切りたいってこと」

1分の沈黙。

「よくわからない。そんなこと言われたの初めてだから」

「うん」

そのあと、駅につくまでずっと無言だった。

「今までありがとう。じゃあね」

これが僕の最後の言葉になると思ったら胸が引き締められる思いになった。

「うん。元気でね」

1ヶ月後。

これが正解だったかわからない。

後悔していることも多い気がする。

けど、前にも進めた気もする。

だから、今はこれでいい。