第38話 基本に戻ります
ーー 急遽帰還し人を育てることに
私は今回メナシス王女の件で考え方を基本に戻ることにした。
私1人がどんなに努力しても手助けできる国や人はほんの一握りであり、国の復興は数十年の年月がかかる、いかに私に寿命という枷がないと言えど効率が悪すぎるのです。
こんな長時間の改革は、神のような考えを持つものでしかやり遂げられない、私は神ではないしそんなに時間をかけたくない。
ならどうするかと言えば・・・簡単な話、出来る人を多く育てて世界に解き放てばいい、その際後ろ盾に私がなればいいのだ。
予定の旅を切り上げて私は自領に帰ることにした。
ーー 先ずはスキルの実の効果を上げよう
人を育てるということは以前から行なっていた。そう考えると間違ってはいなかったのだが、違うのはより強力なスキルの実を作り「出来る人間」を大量に生産したいのだ。
既に私の孤児院や学校にその素材である人材は十分に育っている、それにより強力なスキルを与えて使命を与えて世界に旅立たせるのが今の私の仕事だと思う。
ー 冒険者
孤児院出身の冒険者はAランク以上に育つがそれをSランク以上に格上げする。
私はスキルの実を生成する際の魔力の量と質を数倍に上げて実を生成することにした、すると黄金色の実がなり始めた。
鑑定すると「Sランク以上のスキルの実」と表示された。
成功のようだ、先ずは実力派の
・女神の五指
・女神の腕
を始めとする5つの冒険者パーティーにそれぞれのスキルの上位スキルと弱点と言える方面を補うようにこの実を食べさせる。
「素晴らしいです。」
「新しい世界が広がりました。」
「万能感が半端ないです。」
口々に言葉を言いながらスキルを己の力にしていく彼ら。
「貴方達に使命を与えます、一線を退いた者も新たに活動をお願いします。」
と言いながら
・冒険者の育成と冒険者ギルドの立て直し
・軍隊の育成と規律の見直し
・自警団の育成
を命じた。
ギルドマスターや騎士団隊長更には村や街の副長として、戦う者を人材育成させたのよ。
これは治安や魔物の討伐に大いに成果を上げた。
安全が担保されると人は子供を産みたくなるのね、出産率が爆発的に上がった。
なので食料問題と仕事を与える為に次の手を打った。
次の手は
・農業スキルの強化と担い手の増加
・各種職人のスキル向上と担い手の増加
・商業ギルドの改革
・領主や貴族の固定観念の打破と再構築
である、しかし貴族の案件は既得権益や今までの伝統という言い逃れでうまく機能しない。
そこで私は私の考えを実行できるものだけが幸せを受けられるように仕向けることにした。
当然のように抵抗や批判があるが無視だ、国王には既に認可を得ているやらない者に利益はないのである。
商業ギルドにおいてもその様な貴族と繋がる大商人や問題の多い商人が抵抗してきたが、それらも同じだやらない者には生きる資格もないのである。
ー やって見せてやらせてみて人を育てる
私の領地のやり方を王国内外の貴族に広く公開した、そして同じ様なことをやりたいと申し出た貴族には応援と指導を行った。
これにより領主自ら努力する領地と以前のまま漫然と既得権益に胡座を描く貴族との差がで始めたのは、やり始めて2年目ぐらいからだろうか1年目にも結果は出たがそれが信じられない領主達はさらに努力を重ね2年目に遥かに大きな恩恵を受けることになる。
「まさかここまで変わるとは・・・」
これが本心の言葉みたいですね。
3年目からは今まで私のやり方に反対していた貴族の領地の生産量や領民の数などが、みるみる減少し始める。
すると当然税収が落ち込むそれを増税で賄おうとすると・・・3年もしないうちに破綻し始めた。
国王は財政破綻し貴族としての役目を果たせなくなった貴族に対し爵位の剥奪、領地財産没収を実行しよりやる気のある貴族に領地経営を任せる様になった。
その結果国力は一旦落ちたがすぐにそれ以上の効果を発揮し、王国は名実共に富国強兵の王国となった。
この頃になると私に反抗的な態度をとっていた貴族らはほとんどが姿を消して、ほぼ一枚岩の様な感じで結束するに至った、その為反対派のトップであった公爵家も代替わりして領地経営のやり方を1から見直す様になったのだ。
先ずは王国一つが幸せの土台作り完成である。
これを手本に有効な関係の王国に指導と支援をしながら同じ様に幸せをつくり得る国づくりをしてもらいその輪を少しずつ広げる様にした。
私のスキルの実を食べて各国に派遣された人間は今では300人を超えた。
この大陸において私の名前と私の派遣した人間の貢献度は国王といえども無視できないほどの力を持つ様になった。
ここで全てがうまくいったわけではないことを話しておきましょう。
強大で有効なスキルを持つ私の部下などを取り込もうとする動きが見え始めた、それはそうであろうそれらの者を取り込めばこれから先も恩恵が続くのだから。
そこで私はスキル持ちの部下の管理と保護も行なった。
私の許可なく「婚姻」「定住」「仕官」「独立」を禁止し、最悪の場合スキルの返上を課すことにしたのです。
他国に派遣した部下は定期的に異動を実施し、我が領内に家族を住まわせることにした。
身分と実益を確保し、ある程度任務を完了した者からその者が今後生きる為に必要なスキルに交換して独立や移動を許したのだった。
あれから10年が経過して、未だ私がスキルを取り上げたものはいない。
ー 他の大陸からの訪問者
他の大陸から我が王国、特に私に会いに来るものが増えてきた。
先ずはアトラント王国から、女王の発案で私のところに技術を習いに多くの若者を派遣したのだ。
その結果、それを真似して他大陸の王国から交易の申し込みから技術提携の話などあらゆる話が舞い込み始めた。
私が1人で各国を回らずとも向こうから教えを求めてきたのだ、これが目的だったが本当になると感慨はひとしおでした。
人は安全と食べることに不安がなくなると娯楽を求め始めます、同じ様に娯楽のスキルを持たせた部下を育成し「音楽の街」「芸術の街」と言われる様な街を持つ王国が現れると、お互いに競い合い大会を催す様になりさらに熱を帯びてくる、ここにこの世界のルネッサンス的な時代の流れが誕生したのです。
私は戦争については厳格に禁じました、それを破る行為は私に対しての敵対行動であるので、その王国のスキルの返納や部下の回収と交易の禁止で半年もせずに全面降伏するのが常になりました。
しかし魔物は以前いますし、野党や盗賊もいます。
なので武力は大切ですので3年に一回、大きな大会を行うことにしました、各王国で予選会を実施してもらい我が王国で決勝大会をするのです。
そこで良い成績を収めた剣士や闘士は、良い待遇で仕官できるのです。
識字率の向上も図りました、私の部下を教師に各国に派遣し学校を設立し学びたい者を全て教えて引き立てたのです。
始めは「農民や平民が何を!」と言っていた貴族などが今では私の学校を卒業した者を先を争って雇い入れているのが実情です。
私は遊び心で
・アニメ
・遊戯
・歌謡曲
・ゲーム
・賭博
を時々内輪で見せていたのですが、今ではそれらはこの世界中に広がり一代娯楽ブームが巻き起こっています。
ー 女神からのお言葉
そんなある日、寝ているとまた枕元に女神が・・・。
「貴方がこんなに早く私からのお願いを聞いてくれるとは思ってもいませんでした。その為の不老不死だったのに・・・それではそのお礼と今後起こる災悪について教えておきましょう。」
と言うのです。
「お礼は当然スキルです。あと災悪は、魔王の復活と死病の流行です。かなりの生き物が死ぬでしょうがこれも定めです、貴方は自分の出来ることだけをしてください。それでは良い人生を。」
と言うと私に質問させるいとまを与えず消えたのです。
その実を食べろ!〜全ての望みを叶えるスキルの実。 モンド @mondo823071
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