月が綺麗で哀しくなった

「いつまでも私と共にいてくれますか。」

すんでのところで飲み込んだ言葉が詰まって、少し息苦しい。

あなたといる時私はいつだって幸せで、

同じだけ苦しかった。だっていつかは終わりが来てしまう。弱い私はそれがなにより恐ろしかった。

あなた、いつまでいてくれますか。

何度も何度も飲み込んできた言葉がずっと喉を塞いでいる。

いつまでも、ともにいてくれますか。

口にした願いが叶わなかったら、今の何倍苦しいかしらと考えて、また言葉を飲み込む。


夜空に浮かぶ月の鈍い光が私のみっともない姿を照らすのがまるでスポットライトのようでどうしようもなく虚しくなった。

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成り損ない 東かおる @Azuma_k

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