第4話 からからから揚げ
から揚げには、だんぜんもも肉がおすすめ。
そんなわけで、お邪魔します。
から揚げパーティーにやって来ました。
油。
鶏もも。
レモン。
そして、コーラ。どーん。
夜通しから揚げ摘まみながらの映画大会。から揚げパーティー。ドンデン返し。肉汁。おやつ。おいしい。楽しい。
さ、張り切って揚げよう。君が。
はい、早速始めましょう。
まずは、お肉を切ります。
まあ胸肉は胸肉でおいしいんだけどね。あっさりヘルシー。
でもじゅわっと脂が染み出るジューシーさはもも肉。私は今日、もも肉の気分。
で、そのジューシーさを味わうためにも、大きさが大切。
ちょっと大きめがおいしさの秘訣です。
はい、どんどん切って。
まずは下味。
味付けはにんにく、しょうが、塩こしょうにお酒、醤油。
あとはマヨネーズ足したり、お好みでアレンジは自由自在。カレー粉足したり。辛味足したり。
で、味をなじませたお肉に、小麦粉と片栗粉を合わせたた粉をまぶして、余分な粉をはらって、温めた油に……。
っていうのが本来のやり方です。
うん。本来の。
まあそれはそれでおいしいんだけど。
君がふりかけマンで料理しない人だから。から揚げのために全部買い揃えるのもね、どうかなーって。
特に小麦粉と片栗粉が無駄になる未来しか見えない。
そんな私たちの強い味方がこちら。
じゃーん、市販の唐揚げ粉! です!
なんとこれの他に必要なのはお肉と油だけ、これさえあれば他の何も必要のない魔法の粉。
そう、すごいの。
では、切ったお肉をポリ袋に入れて。
その中に唐揚げ粉をざばーっと。
ざばー。
で、袋の外からもみもみして。
もみもみ……。
………………いや、なんかさ。
なんか、君の手付きがやらしーんだけど。
……っち、ちがうでしょー!
ちがくて! 私がじゃなくて! 君が! 君の手付きのはなし!
もう、すぐそうやって変なこと言ってからかうんだから。
もういい、もうそのくらいで大丈夫です。こっち見ないで。手もわきわきしないで。
ほら、よく揉んだら、そのままちょっと置いておいて。
で、その間にお鍋。
お鍋に油を注いで、あっためる。
油は百八十度ぐらい。
割り箸を入れてみて、ぷくぷくーって泡が出たら大体それくらい。
はい。
とり肉入れまーす。
水分で油はねるから、気を付けて。
うん、お肉の大きさとか、油の温度にもよるけど、たぶん四分ぐらいかな。じっくり揚げる。
あんまり一度にたくさん入れ過ぎたら油の温度が下がっちゃうから、ほどよくね。
で、油から取り出して、残りのお肉も同じように、じゃんじゃん揚げて。
じゃあ、私はその間にキャベツ刻んどく。
山盛りの千切りキャベツが、私たちの胃を油から守ってくれるのです。
で、明日の朝は、余ったから揚げとキャベツで、サンドイッチ。
食パンとマヨネーズも買って来たし。
うん、いいと思う。ばっちり。油はねなかった? 火傷してない?
ん、じゃあこっから、二度揚げね。
油から揚げてしばらく休ませたお肉を、最後に一分ぐらい、二度揚げする。
そう、それで劇的にからっと仕上がるのです。
焦げないように、気を付けて。
はーい、こっちもいいよー。
油に凝固剤入れた? ん、おっけー。
そ、入れて溶かすだけ。冷めたら固まるから、あとで捨てればいいの。
よーし。
ポップコーンにポテトチップス。
チョコレートと、コーラ。
山盛りの千切りキャベツ!
山盛りのから揚げ!
完成!
すっごい量だね。ふふ。冗談みたいな量、絶対つくりすぎ。二人だけなのに。
うん、でも、パーティーはこうでないとね。
ほら、映画つけてつけて。
コーラ注ぐね。
はい。
ん、はーい、かんぱーい。おつかれー。できたてー。いただきまーす。
ほらほら、揚げたてのから揚げだよ。どんどん食べよ。そんで映画みよ。
レモンは? かけちゃっていい?
んー、はーい、らぶらぶびーむ……。
………………………………。
ちょっと! なにやらせてるのもう! やっちゃったじゃん!
もう! すぐそうやってからかうんだから! すごい笑うし!
ら、らぶらぶとか……!
ち、ちがうし、そんなんじゃないし……。
……そんなんじゃ、ないでしょ……?
……へ。
………………………………ま、待って、ちょっと待った。落ち着こう。落ち着いて。
いや、ちょっと待って、なんか変なスイッチ入ってるから!
ちょ、ちょちょちょちょちょちょちょまままままままままままままままま!
ちょ、まって、いや、いやとかそういうことじゃなくて、いやなわけじゃないけど、いやなわけじゃないっていうか、いやじゃないけどそういう問題じゃなくて、いやま……ちょ、まっ……!
………………っ!
…………?
!!!!!!!!!!!!!!!!
もう! もう! ほんとに!
信じらんない!
なんでそういうこと! するかな!!!!!
ばか! すごくばか!
………………………………ばか。
………………………………。
……ねえ。
ほんとに……冗談……なの?
あの、あのね。突然で……びっくりしただけ、なんだよ?
本当にいやだったとか、そういうんじゃなくて……その、ちょっと、ちょっとだけね、ほんとはちょっとだけ……。
期待……したかな、みたいな……。
ね……。
えっと。
……らぶらぶ……しないの?
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