嘘から出た真といいますが、火のないところに煙はたたないわけで、真があるから嘘が生じるのだとすると、そもそも嘘は真を映す鏡、もしくは真の影で、両者は表裏一体なのかもしれません。この作品の恐ろしさはそこにあります。単にサイコパスで片付けられない怖さを感じて欲しいです。
桜、夜空、コンビニのネオン、ブランコの音に、それから鉄の匂い……。五感に訴えかける描写が、まるで自分がその場にいるかのような、読書の旅に連れ出してくれます。臨場感のある作品です。素敵な作品をありがとうございました。