吊革をぎゅっと握って

吊革をぎゅっと握って

吊革をぎゅっと握って慣性に負けないように立てれば大人

ため息のせいねグラスの発泡酒　泡の比率があがっています

藍色をうんと濃くして星空になれ願いごと祈れるように

御社（おんしゃ）がため　志望動機をくり返し繰り返すほど乾く唇

朝霧のなか息をするくらいでは溺れることはできないみたい

キミからの不在着信　追い打ちのペトリコールが匂い立つ帰路

非対称な左右の瞼（まぶた）はウインクをするためにこそあると思うの

ペン先に絡む用紙の繊維とか涙で綺麗な線がひけない

通院をするようになるこれからは予定通りにいかないみたい

想い出が不揮発性（ふきはつせい）である為にガラスの靴は片方で良い

つまづいて戸惑って溜め息ついて丁度いい生き方を見つける

風邪薬くちに含んでいるときの手元の水のようねアナタは

靴底の音（おと）軽やかに鳴らすため足早に生き急いでいます

恋しさは口寂しさと似てるから。ビターがいいの、気になるカロリー

知ってます。今日日（きょうび）わたしの生き方がロマンティックじゃないことくらい

雨の日は傘を持つから6月の左手は綺麗にしておくつもり

アオハルを思い出してみる。点Pは終着点に着けただろうか

その時が来ても心のトリアージ　好きも嫌いも優先じゃない

君にさよならは、言わない。『　　　　　（中の句は）　　　』あまりに長き空白期間

蝶々の浮き沈みつつ翔ぶように唯（ただ）、幸せに近づいていけ