第7話

ー2XXX年都内某所ー


「今日もプログラミングの授業かぁ。『ひとつの世界を構築しろ』なんて小学三年生の授業にしては高度すぎる課題だよね……ねぇ、アシュラもそう思わない?」

「何言ってるんだよセンジュ。クラス一の秀才のお前が創った世界はなんのミスもないじゃないか」

「どうかな、今のところは順調だけど、大きな欠陥はこれからみつかるかもしれないし何かひとつの見落としで世界崩壊の危機にも繋がるからね。気は抜けないよ」

 聡明そうな顔をした少年が困ったように笑う。

「そういうアシュラの世界はどう?順調かい?」

「そうだな……まだ少しばかりバグが残っているけれど、いい修正方法をみつけてね。世界が完璧になるまでもう少しってところかな。これも隣の席にお手本みたいな世界を創ってるお前がいてくれたおかげだよ、センジュ」

「あはは、やだなアシュラ。ぼくは何もしてないよ。君の世界が上手く運営されているのは君のおかげでしょ」

「フフ……本当に、そうだといいね」

 ランドセルを背負った少年が二人通学路を歩いていく。

 アシュラと呼ばれた黒髪の少年は赤い目を細め不敵に笑い、今日も元気に登校するのだった。


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バグだらけの世界を修復して救世主になるには 多那可ぱとす @tanapato

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