第6話
「なるほどね、ドラゴンの姫……カナリアちゃんによる世界崩壊の危機はこれでなくなったんだ」
「とうっぜんよね。妾はお姉ちゃんが悲しむような真似しないもの!」
さつきの膝にのったドラゴン娘が小さく火を吹きながら自慢げに笑う。
「で、なんで私は元の世界に戻ってないの!?」
そう、世界を無事に救ったというのにさつきはまだバグアースに留まっているのだ。
ちなみにここはシルフィに案内してもらった最寄りの町の宿屋である。
「シュラ!もうカナリアちゃんはバグじゃなくなって世界崩壊の危機は防げたんでしょう?だったらいいかげん私を元の世界に帰してよ!」
さつきの懇願を受け流すように、シュラはニヤリと笑ってみせる。
「たしかにオレはバグを片づければ家に帰すと約束した。だけどバグがひとつだなんて一言も言ってないよね?悪いけどさつき、この世界のバグを取り除くまでは……ぜぇったいにキミを手放したりしないからね!」
「そんなぁっ」
「バグ、世界のプログラムミス……最近の魔物の大量発生騒動にはそんな原因があったのですね。にわかには信じがたいけれど、さつきさんの力はたしかに救世主に違いありません」
「シルフィまでそんなことを……」
シュラ以外からもバグ取りの仕事ぶりを認められて、思わず脱力してしまう。
「お姉ちゃん、お家に帰らないの?妾といっしょにいてくれる?」
「うう〜ん、不本意だけど、そういうことになるみたい……」
カナリアのことも心配ではあるし、こうなったらもう少しこのバグだらけの世界を修復していくしかないみたいだ。
「ダイジョーブよ!妾が魔物からお姉ちゃんのこと守ってみせるわ」
「僕も治療魔術師としてこの世界を癒すために、さつきさんの使命を手伝わせてください」
「ふたりとも……ありがとう!これからもよろしくね!」
かくして、さつきのバグだらけの世界を修復して救世主になる旅は始まったのであった。
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