小腹

穂積潜@12/20 新作発売!

小腹

同姓の行方不明者放送を無視して沸かすカップ麺の湯


牛乳の箱から色が消えた日に三十路だと思い出す1K


シロップの全色味は同じなら空と海とのあおの違いは


半額のケーキのみじめたらしさを補うために紅茶は葉から


食べかけの菓子の袋を閉じるには洗濯バサミ足りなくて夏


そうだよねどうせお菓子は太るなら納得できる大福がいい


甘すぎるこのサイダーは宮沢の賢治の好きなサイダーだから


駄菓子屋のソースカツにも追いソースする君が責める僕の脱衣


お土産のバターサンドに見合うような息子でなくてごめんなさい


家族からおせちは消えてお雑煮は残って意地でもかまぼこは買う

      

袋麺スープを使い回されてチャーハンになる君は本望

         

券売機お札は全て拒絶され並盛り男紅生姜盛る


定食を値上げするのは構わないだけどお水のレモンなくすな


半裸にてサラダチキンを丸かじり健康ぶった野蛮人になる


油跳ねせぬほど腕を上げるより熱さに慣れる方が得意で


コンソメのスープはちょっと生意気でほんだし混ぜる自分が好きで


「裏技」といまさら二種のルーを混ぜ恥じない君の鈍さを愛す


「身体には悪いものほど美味いの」宣う君の健全な契り


まだ許す車の傷は許すけどその米粒を残すならもう


誰も彼も粒入り派だから辞めますね小骨も種も全部滅びろ

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

小腹 穂積潜@12/20 新作発売! @namiguchi_manima

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ