#1-2 酒場の村
翌朝、私は村長さんへお礼をそこそこに村の散策に出かけた。
私の旅にはいくつかのルールがある。
そのうちの一つが「恩を受けたら返す」
今回村長さんから許可はもらったが、
泊った空き家は村全体で倒壊しないよう管理しているもの。
つまり今回の恩を返す相手は村全体になる。
だからこうして村規模で何か困りごとないか見て周ってるのだ。
と言っても毎回このルールの達成が難しいのが困りもの。
余裕のない人は人助けなんてなかなかしない。
余裕のある人に恩返ししようとしても、なかなか恩に報いることができないのだ。
今回もしっくりこないまま出発になるかと思い、最後の頼みの綱酒場へ向かうことにした。
『すべての情報は酒場に集まる!』冒険者の常識だ。
肝心の酒場の場所を知らないので向かい側で落ち葉を集めていた少女に聞いてみよう。
「おーい、そこのお嬢さん この村の酒場の場所教えてほいいんだけど―」
私の問いかけに何か答えようと少女が箒を片手に両手を挙げた瞬間だった。
突如突風が吹きあたりに叫び声と爆音が轟く。
民家程の巨体でどうして飛べるのか毎回不思議に思う、ドラゴンと呼ばれる害獣が発生したのだ。
返礼道中記 『多重債務 お嬢様!!』 Areimu @Areimu
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