♯5 お風呂の壁

//SE 浴槽からお湯が溢れる音



「んーー! いいお湯!」


「やっぱりお風呂に入らないと一日が終わらないよね~」


「……」


「……」


「ん? どうしたの? 顔が真っ赤になってるけど」


「壁くんは今はお風呂の壁なんだよ? 動くどころか、今日は目も開けちゃダメだからね~」



//SE 浴槽からお湯が溢れる音



「あーあー、なんだか眠くなってきちゃったな~」


「この前、誰かさんが先に寝ちゃったんだよねぇ~。ご主人様の私のを置いてさ~」



//SE 浴槽から彼女が立ち上がる音

   浴室を歩く足音(段々こちらに近づいてくる)



「ねぇねぇ? この前のはどうやって落とし前つけてくれるのかなぁ~?」



//SE 濡れた手で胸元を触る音



「今日はこの前の罰ゲームだからね。絶対にぜーーーったいに目を開けちゃダメだからね」//耳元に声が聞こえてくる



//SE 濡れた手で胸元を摩る音



「あれれ~? この壁、急に温かくなってきてない?」


「汗かいて苦しそうだねぇ~」


「どれどれ、心臓の音聞いてみようかなぁ~」



//SE 少し早めの心臓の鼓動

(自分の心臓の音なので音はかなり小さめ)



「あれれー? いつもより音早くなーい?」


「それになんだかいつもより力強い気がしますけどー?」


「もしかして私で興奮しちゃってるんですか~?」//セリフ終わりまで耳元囁き


「…………っ!?」//息を飲むような感じ


「ふふっ、ちょっと意地悪だったかな~」


「でもこれは罰ゲームだから仕方がないよねぇ~?」


「それじゃあ私はそろそろ出るから……ん? どうかしたの?」


「え? まだ入ってたい? そんなこと言われても困っちゃうんだけどぉ~」


「だって今はまだお仕置の時間だしぃ~」


「はいはい、壁君は私のこと大好きだもんね~」



//SE 彼女が抱き着いてくる音

(彼女が胸元に耳を当ててくる)



「じゃあ今日はたっぷり心臓の音聞かせてもらおうかなぁ」


「えへへへ、そのまま動いちゃダメだからね」



//SE 少し早めの心臓の鼓動



「今日は本当にいつもより心臓の音が早いね……」



//SE 少し早めの心臓の鼓動



「んぅ……」


「こうやってずっと抱きしめてたいなぁ……」



//SE 少し早めの心臓の鼓動



「このまま時間が止まってくれたらいいのに……」//甘えるような感じで


「……ふぅ……ふぅ」//吐息多めで



//SE 少し早めの心臓の鼓動



「ねぇ……お願いがあるんだけど……」


「頭も撫でててもらっていい?」


「いいの。私が許可出したんだから」


「あっ、目は絶対に開けちゃダメだからね」



//SE 髪を優しく撫でる音



「んっ……」


「だーめ、そのまま撫でて」//甘えるように



//SE 髪を優しく撫でる音



「あははは、あなたの心臓の鼓動どんどん早くなっていくね……」



//SE 早くて力強い心臓の鼓動



「ふふふ、生きてるって感じがするなぁ……」


「ねぇ? あなたもそう思うでしょう?」



//SE 早くて力強い心臓の鼓動



「ねぇ? ぎゅーして?」


「いいの。私が許可してるんだから遠慮しなくていいよ」



//SE 強く抱きしめる音



「んっ……! ちょっと痛いかも……でも気持ちいい……」


「こうしてると落ち着くっていうか、心が満たされていくみたい」


「……」


「……」


「あのさ、一つだけ約束してくれる」


「もう二度と私を置いて先に寝たりしないって」


「もし破ったら許さないからね」//笑いながら


「これからは一緒にお風呂に入るたびに今日のことを思い出して貰うから」


「だから……絶対に忘れちゃダメだよ」

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