♯2 おはようの壁パン

//SE 鳥のさえずり



「おはよう~」


「壁くん、起きてるー?」


「朝だよー」


「おっ、起きた」


「もしかして寝たふり? 本当にいい度胸してるね」


「これは朝からお仕置きが必要だね」


「とりあえず、布団から出ておいで?」


「ほら、早く出てこいって!」


「もしかして恥ずかしいの? しょうがないなぁ。手伝ってあげるよ」


「よいしょっと」


「はい、これでオッケー。じゃあ行くよー」


「せーの」



//SE お腹を殴る音



「あははは! おはようの壁パンだよ!」


「もっとその表情見せて?」


「な、なによぉー! たまには朝からだっていいでしょう! 充電が切れちゃったの!」


「つ、つべこべ言わない! 君は私の壁に就職したんだから文句言わない!」


「ねぇねぇ壁くん? 朝の心臓の音聞かせて?」


「壁くんはいつも通り壁になってくれればいいから♪」


「ほら、もっと近くに寄って……?」



(彼女がこちらに抱きついてくる。声がより近い感じに)


//SE 衣擦れの音



「それじゃあ始めるよ?」



//SE 心臓の鼓動(ドクンドクン)

(自分の心臓の音なので音量はかなり小さめ)



「今日も元気に動いてるね~。えらいえらい」


「ちゃんと今日も心臓が動いててえらいぞ~」



//SE 心臓の鼓動(ドクンドクン)



「ふぅ……ふぅ……」


「……ふ、ふぅ」


「んっ……」//悩まし気な声



//SE 心臓の鼓動(ドクンドクン)



「……」


「……ね、ねぇ、私の音も聞いてよぉ」


「や、やだぁ……。お願いだから私の音も聞いてぇ……」//甘えるように



//SE 服が擦れる音

(彼女がこちらの耳元に胸を押しつけてくる)



//SE 心臓の早い鼓動(ドクンドクンドクン!)

(彼女の心臓の音は自分のものよりかなり早い)



「ふぅ……ふぅ……ふぅ……」//心臓の音に合わせ彼女から声が漏れる



//SE 心臓の早い鼓動(ドクンドクンドクン!)



「んっ……ふぅ……あっ……」



//SE 心臓の早い鼓動(ドクンドクンドクン!)



「ふぅ……んっ……ふぅ……」//苦しそうに


「も、もぉ……壁くんのせいで朝からこんなに私の音が鳴ってる……」


「今から私がすること、壁くんは絶対に動いたらダメだからね? もし破ったらどうなるのか分かるよね?」


「うんうん、それでこそ壁くんだ」


「私に逆らえないようにしっかり調教してあげないと」


「壁には人権なんてないんだからね?」


「今更こうなったことに後悔しても遅いんだからね?」



(彼女の口が耳元に近づく)



「まずは壁を撫でてあげようかな」



//SE  髪を撫でられる



「よしよし、いい子いい子」


「あれれ~? 撫ででるだけなのに気持ち良さそう~なんでだろう~?」


「気持ち良くなってるフリをしているだけだもんね? 壁が気持ち良いとかないもんね?」


「ほら、どんどん触っていくよ?」


「まずは手始めに脇腹辺りをこうやって~」



//SE 脇腹を撫でられる



「ふふっ? くすぐったいの?」


「凄い反応してるよ? ほんとキモいんですけどぉ~」


「じゃあ、次は太ももね」


「はい、ここも弱いところだね」



//SE 太ももを優しく触られる



「うわぁ……足プルプルさせて……マジでウケるんですけど」


「じゃあ、そろそろ壁くんの一番好きなところいきましょうか~」



//SE 耳元で息を吹きかける音



「ふふっ、どう? 壁くんは耳弱いもんね」


「ねぇ、今どんな気分?」


「あれれ~? 壁くんはお返事できないのかなぁ?」


「じゃあ、もう一度やってみよっか」



//SE 優しく耳元で息を吹きかける音



「あはは、壁くんは変態だなぁ」


「そんなに良かった? でも、まだまだこれからだよ?」


「ここはどうだろう?」



//SE 首筋を舐める音



「あはは、首舐められてるのに無抵抗とか笑える」


「もしかして、もう限界なのかな?」


「でも、許さないよ」


「ほら、もっと頑張らないと」



//SE 再度首筋を舐める音



「相変わらず壁くんは雑魚だね。雑魚で変態さんだね」//蔑むように



//SE 髪を撫でる音



「はい、おしまい! よく頑張ったね」


「えらいえらい。壁くんはえらいぞ~」


「はい、ご褒美の頭なでなでタイム」


「え? 違うよ。壁くんが私の頭を撫でるんだよ? 私のこと触っていいんだよ?」


「どう? 嬉しい?」


「あ、壁くんは今壁だから喋れないか」


「じゃあさ、質問するからイエスなら一回、ノーなら二回瞬きしてみて?」


「私は君の事が大好きです。これはイエスかノーかどっちでしょう」



(少し間を置く)



「正解。よくできましたー。えらいえらい」



//SE 髪を撫でる音



「壁の分際で私からの愛情を受け取れるなんて幸せ者だね~」


「私以外の女に目移りしたら承知しないんだからね」


「それじゃあ、今日の朝はこれくらいにしてあげるよ」



(少し間を置く)



「って! あっ! 時間やばい! 遅刻しそう!」


「もーーー! 壁くんと遊びすぎた! 早く用意しないと! ちょっと洗面所行ってくる!」



//SE 小走りで離れていく足音

   洗面所のドアの開閉の音



「あっ!」



//SE ドアが開く音



「ごめん! 大切なこと言い忘れてた!」


「朝からありがとう! 愛してるよ!」//声を弾ませて

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