僕の彼女は心音フェチ ~彼女を見守る“壁”に就職した僕と、少し変わった趣味を持つ彼女との日常~
丸焦ししゃも
♯1 ドクンドクンが好き
――大好きな子を見守る壁になりたい。
男ならそんなことを思ってしまうときがあるだろう。
もしその願いが叶ってしまったら……?
この物語は、大好きな子の“壁”に就職してしまった僕と、少し変わった趣味がある女の子“
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【本編】
「ただいま~今日も疲れた~」
//SE 部屋の扉を開ける音
こちらに近づく足音
「おっ、今日もちゃんとそうしてたんだ。えらーい!」
「今日もそうして私のこと待っててくれたんだ?」
//SE お腹を殴る音
「はぁ? なんで殴られて嬉しそうな顔してんの? 壁の癖に」
「ちょっと気持ち悪いんですけどー。壁が反応するとかあり得ないんですけどー、この変態」//蔑むように
「壁は黙って私の話を聞いていればいいの? 分かる?」
「君から言ったんだよ? 私も見守る“壁”になりたいって」
「きもいよねぇ……。本当にきもいよねぇ」
「そんなの許してあげるの私しかいないんだよ? 感謝してよね」
「はぁ、壁くんと話していたら疲れちゃった」
//SE 服の擦れる音
(彼女がこちらに抱きついてくる)
「それじゃあ、ちょっとおかえりの音を聞かせてよ」
//SE 心臓の鼓動(ドクンドクン)
(自分の心臓の音なので音は小さめ)
「ちゃんと心臓が動いてて偉いね~」
//SE 心臓の鼓動(ドクンドクン)
「ちゃんとどっくんどっくんしてて偉いね~」
//SE 心臓の鼓動(ドクンドクン)
「え、えらいねぇ……」
「……」
「……ん」
「ふぅ……ふぅ……」//心臓の音に合わせて段々声が漏れる
「んっ……」
//SE 心臓の鼓動(ドクンドクン)
「……壁くんの心臓の音、本当に落ち着く。大好き」
「ねぇねぇ……私の心臓の音も聞いて欲しいんだけど……」//甘えるように
「……」
「そのままじゃ、私の胸元に耳がこないでしょう。少しはかがんでよ」
「いいから。早く私の胸に耳を当ててよ……」
//SE 服が擦れる音
(彼女の胸に耳を押し当てる)
「どう? 私の心臓の音聞こえる?」
//SE 心臓の鼓動(ドクンドクンドクン)
(彼女の心音を聞いているのでさっきよりも音が大きい。自分のときよりも鼓動が早い)
「んぅ……」
「こんな風に自分の心臓の音を誰かに聞いてもらえるのって凄く気持ちが良い……」
//SE 心臓の鼓動(ドクンドクンドクン)
「心臓の音が早い? そりゃそうだよ……」
//SE 心臓の鼓動(ドクンドクンドクン)
「んっ……ふぅ……ふぅ……」//心臓の音に合わせ彼女から声が漏れる
「んぅ……」
//SE 心臓の鼓動(ドクンドクンドクン)
「……ふぅ」
「んぅう……」//切なげに
//SE 心臓の鼓動(ドクンドクンドクン)
「あっ……」
「帰って着替えてもいなかった……」
「ちょっと着替えてくる……」//残念そうに
//SE 遠くに離れていく足音
(彼女が少し離れた場所で着替えを始める)
//SE 衣擦れの音
「ちょっとーなんか視線を感じるんですけどー」
「別に壁の前で着替えたって問題ないでしょう」
「もしかして、この程度で興奮しちゃってるの? マジ変態じゃん」
「そんなにいいなら、これあげるから」
//SE 服がこちらに投げ捨てられる
「あっ、ごめーん。つい壁くんに服を投げちゃった」
「壁だから何にもできないよね~。せっかく私の服がそこにあるのに残念だったね~」
//SE こちらに近づいてくる足音
(息遣いを感じさせるくらいの距離になる)
「そんな変態な壁くんにはこうしちゃおうかなぁ」
//SE 耳元で息を吹きかける音
「あはっ! あはははははは! クソ雑魚じゃん!」
「壁の癖にそんなことでグラついちゃってるし!」
「変態でどうしようもない壁くんにはもっとお仕置きが必要だねぇ~」
「ほらほら~」
//SE さっきよりも優しく耳元で息を吹きかける音
「あはは、壁くんは耳が弱いね~。そんなんで立派な壁になれるの?」
「ほぉら、じゃあこんなんはどう?」
//SE 今度は強めに耳元で息を吹きかける音
唇の湿った音
「うわぁ……マジキモい……」
「えっ? まだまだやめないよ?」
「次はどんな風にいじめて欲しい?」
「あっ、壁だからお話できないもんね~」
「でも、こんなんじゃ全然足りないよねぇ~」
「そうだ! 良いこと思いついた!」
「今から私が良いって言うまで動かないでよ? って、どうせ壁だから動けないよね?」
「もし動いたら……分かってるよね?」
「よし、それじゃあ始めましょっか」
「スタート♪」
「まずはこの服を君にかけてっと」
//SE 大きめの衣擦れの音
「うんうん、そしてこれをこうしてっと」
//SE 布を巻き付ける音
(落ちていた服が首回りに巻き付けられる)
「はい、完成♪ 君の身体は私の匂いに包まれました~」
「え? ただ壁に服をかけただけだけど?」
「分かってる? 君は壁なんだから動いちゃダメだからね」
(彼女が抱きついてくる)
//SE 服が擦れる音
「……ふぅ」
「あれれぇ? こんなにぎゅーされてるのにどうして抵抗しないのかなぁ? それとも壁だから何にもできないのかなぁ?」
//SE 心臓の鼓動(少し早め)
(自分の心臓の音なので音量はかなり小さめ)
「それにさっきよりも心臓の音が早くなっているような気がするんだけど?」
「もしかして、私の匂いで興奮しちゃったとかじゃないよね?」
「壁の癖にそんな訳ないかぁ」
「だって、君は壁だものね」
「あはは、でも大丈夫だよ? ちゃんと私が責任持って最後まで面倒みてあげるからさ」
「ほら、もう一度私の心臓の音聞いてよ」
//SE 微妙な衣擦れの音
力強い心臓の鼓動
(彼女の胸に耳を押し当てている)
「んっ……ふぅ……ふぅ」
//SE 心臓の鼓動(早め)
「……んぅ……んっ」
//SE 心臓の鼓動(早め)
「んぅ……」
「あっ……」
(彼女の声が少し離れる)
「ふ、ふぅ……」
「は、はい! 今日は充電完了でーす。お疲れ様~」
「どう? 今日の感想は?」
「はい、よくできました~。拍手~パチパチー」
「壁の分際でよく頑張ったね。偉いぞー」
「よくできまちたー」//馬鹿にするような感じで
「でもまだまだ終わらないよ? これから毎日君を徹底的にいじめるんだから。それはもう気が狂っちゃうくらいに」
「だから、覚悟しときなよ? 分かった?」
「……」
「……」
「……」
「……」
「……」
「そ、そうだ。最後に一つだけ」
(彼女の声が一転しておびえたものに変わる)
「さ、最初に調子に乗って殴っちゃったけど痛くなかった……? 大丈夫……?」
「ほ、本当は気持ち悪いとか全然思ってないんだからね! 勘違いしないでねっ!」
「……」
「本当に本当に私のことをずっと見守ってくれるんだよね? こんな幸せなことがあってもいいんだよね?」
「そ、そこまで言って私のこと捨てたら絶対に許してやらないんだから……」
「私のこと絶対に嫌いにならないでね……ぐすっ」
「ぐすっ……ぐすっ」
「うぅ……だってしょうがないじゃん。こんなにあなたのこと大好きなんだから」
(泣き声と一緒に鼻をすする音も聞こえてくる)
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