延心治療

うたた

延心治療

したがって、幸せの延長上に死にたさはある。(証明終わり)


えんえんと近づいてくる声があるちょうちょ結びに手間取った時


この道はいつか遠くに行けた道ぼくらに延性があったとき


かごめかごめ歪な円をえがきつつぼくらは鶴を滑らせていた


「おお神よ、炎上中の地球にも救いを『ボケが!自分で救え!』


振り回せ、遠心力があるならば夢も希望もこぼれないはず


生命いのちより先に心に効くような歌のおくすり出しときますね


シャーペンの芯がほっそり落ちていてつめがみじかいから拾えない


ごまかしてごまかして日々水をやる心の花が枯れないように


すくすくと育たなかった身長をまだ撫でられる手はありますか


この家も治ることなどない傷を抱えて育つ大木だった


『退治しろ!』猫を抱き上げ怪獣は武器の嵐の中を歩いた


政治家のような言葉を使っても星一つさえ守りきれない


治そうと思わなくっていいんだよ、そのうち紙飛行機も飛ぶよ


ちりとりに取り残された埃たち今日も生き延びてしまったなあ


ひっそりと灯る診療所のあかり山の向こうの月影よりも


この国の領土を超える方法は真っ赤なすべり台のむこうに


荒療治しかできなくてごめんね、と君の右手の握りこぶしが


了解、と返信が来る本当の気持ちはいつも言ってないのに


良縁に恵まれていた両親のような出会いはまだないけれど

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延心治療 うたた @asimoto

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