生存日和――今日も死なないことにしました
白早夜船
第1話
いつもより1分早く家を出て1週間のごみ捨てをする
「
10秒の遅刻くらいは許してよ 走り去ってく電車に告げる
これはもう嫌がらせっていうくらい机の上が散らかった朝
わざとではないです。ただのうっかりです。決してわざとじゃありませんので。
ヘタクソな100%勇気の熱唱を聞いてなんだが元気が湧いた
ありもせぬ記憶をどうにか思い出し5日遅れでレポートを書く
疲れてるつもりはないが「お疲れ」を「こんにちは」って言い間違える
キビキビと働くバイトを横目見て9時きっかりに退勤を押す
締め切りに追われていない人生もたまにはいいと思いこそすれ
夢を見た 夢を追いかけている夢 夢でしか夢見なくなった夢
ダイイングメッセージを書く格好で5月半ばの朝を迎える
傘立てに差しっぱなしになっているビニール傘のような休日
風じゃなく音で気がつく ベランダが外部接続されてることに
政策で基本料がタダになり水道代が77円
半年前おそらくここにいた人の郵便物に「転居」と記す
毎日のように見ているはずなのに思い出せない冷蔵庫の中
煮汁から
「そんな日もあるよと」と言って笑ってた そんな日ばかり続けばいいな
あなたからもらった愚痴を糧にして今日も死なないことにしました
生存日和――今日も死なないことにしました 白早夜船 @shirabaya_yofune
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