第12話 涙

 第7話 診断書の提出

 https://kakuyomu.jp/works/16817330657985119497/episodes/16817330657986244336


 の回で少し書きましたが、


 ●会社に行く準備をしている時

 ●会社に向かっている時

 ●会社に着いてしばらくの間(少なくとも午前中いっぱい)

 ●仕事の事を考え始めてしまった時


 など、目尻にじんわりと涙が滲んできます。

 最初は驚きましたが、今はだいぶ馴れましたので、家にいる間は綿棒で目尻の涙を吸ってみたり(←意外と便利です)。家から出た後は小さく畳んだティッシュの端で涙を吸ってみたり。

 なにしろ、ボロボロ流れてくるような涙じゃないだけマシでして、


 あぁ、あの人目の調子が悪くて涙が出ちゃってるのかな?


 くらいにしか、周りの人からは見えないだろうという感じです。

 正直、助かっています。

 ただ、驚いたことが1つありました。


 先日の土曜日(5月27日)、心療内科の診察を終えてから、気分転換に遠出をしたのですけれど。

 心療内科へ行く途中も、心療内科から出て乗り換えの駅に向かう途中も、涙が止まらないのです。

 相変わらず、じんわり滲む程度ではありましたが。

 なぜなら、どちらも【会社までの経路】内だからだと思います。

 乗り換えの駅なんて、まんま会社の最寄り駅ですから。


 これから遊びに行こうと、気持ちの方では楽しみを感じていると言うのに、体が反応してしまっているのですね。

 本当に、驚きました。

 そして、乗り換えの駅を過ぎ、通勤とは異なる電車に乗って以降は、気づけば涙は止まっていました。

 これにも驚きました。

 心の影響が体に現れるタイミングがずれているので、もし心がこのまま順調に元に戻れたとしても、体の反応が消えるのは時間がかかりそうだな、なんて思いました。


 話は変わりますが。


 5月29日の月曜日。出勤日。

 確認したいことがあって、在宅勤務中のメンバーに電話を掛けたところ、確認事項を確認し終わったあと、彼女はこんなことを言い始めました。


「本当は、あのメール(おそらくわたしの補足メールのことかと)を読んだあとすぐに平さんにお声がけしたかったのですが、周りにみなさんいらっしゃったのでなかなかお声がけできなくて。いつも何かあると聞いてしまってごめんなさい。色々大変な時にも気にかけてくださってありがとうございます。もう本当に、しばらくゆっくりしてくださいね」


 ……やめてよ~もう、じんわり涙がボロボロ涙になるじゃない……(T_T)


「大丈夫大丈夫、そんな分からない事聞くなんて当たり前の事なんだし、わたしはそれほど重症じゃないから。でも、お言葉に甘えてのんびりさせていただきます!」


 と、慌てて電話を切って、こっそり泣きました。

 すぐ手の届く場所に、じんわり涙を吸い取る用のティッシュを用意してあったので、助かりました。


 これだから。

 こんなにいいメンバーに囲まれてしまっているから。

 わたしは、なかなか転職の決断ができないでいます。

 これだけではなく、やはり業務過多で体調を崩している隣の席の人にも


「平さんの方がよっぽど体調悪かったのに、私の話聞いてくださって、すごく嬉しかったです」


 なんて言われるし。

 そのメンバーは、皮膚に症状が出てしまったのです。

 蕁麻疹から始まって、全身の炎症。

 顔も真っ赤になってしまうくらいに、酷い症状。

 上司には伝えたのに、上司は「その後大丈夫?」の一言も無いとか。

 ……それにも相当呆れたのですけれど、ね。

 そんな話を聞いたら、その後どうなの?大丈夫?って、心配になりますよね。だからわたしは業務の合間に、機会を見ては彼女にお話を聞かせて貰っていただけなのですけれど。

 たったそれだけの事で感謝されることでもなんでもないのに。


 もう~、だからやめてってば……涙が出てきちゃうから。


 またもや慌てて、ティッシュで涙を拭ったのでした。


 みんな、大変な思いをしてこの窮地を乗り切ろうとしています。

 だからって、わたしが責任を持って頑張らなくちゃ!と思う必要は無いと、心療内科の先生は仰っていました。

 それも道理です。

 だって私は、管理職ではないのですから。

 だけども。

 やはり、管理職が全く役に立たない以上は、自分たちのやるべきことを少しずつでもやって、改善していくしかないのですよね……

 これ以上、体調を悪化させる人を出さないためにも。


【適応障害】のせいで、涙腺が脆くなっているんだ。


 良い言い訳ができて良かったです(笑)

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