第4話 罪

 俺は、悪いことをしてしまった。

 そう思いながら、スマホを見ると「容疑者は高崎次郎」という文字が見えた。

「ほらな。」

 あと少ししたら、警察が来て逮捕されるだろう。

 そんなことを思っていると、一通のメールが来た。

「空山 翼?」

どっかで聞いたことある名前だった。

「会社の同僚だった奴か!最期だし、メール見てやるか。」

ポチッ。

 俺は通知をタップした。


「高崎、久しぶりだな、覚えているか?お前の同僚だった空山だ。

 今日は話したいことがあってメールをした。

 お前、人を殺したんだろ。

 ニュースにもなっているし、じきに警察も来るだろう。

 だから、最後に伝えたいことがある。

 お前のお兄さん、高崎太郎さんが会いたがってたぞ。

 いってやりな。」


 俺は、そのメールに返信をした。


「久しぶりだな。

 兄と何で連絡とってるんだ?

 まあいい、俺はこの後死のうと思っている。

 兄に合わせる顔がない。

 今までありがとうございましたと、伝えといてくれ。」


 このメールを送信すると、すぐに返信が来た。


「高崎、死ぬな。

 確かに、お前は悪いことをした。

 だが、お兄さんはお前のことをとても心配している。

 お前が死ぬなら、俺は生きていけない、俺も死ぬ、って言ってたぞ。

 お前がお兄さんに感謝しているんだろ。

 お兄さんは、それ以上に感謝していた。

 お前がいなきゃ、今の自分はいない、だから死ぬな!って。

 だから、僕からも頼む、

 死ぬな!」


 俺はこのメールを見た時、なぜか目から涙があふれた。

 このメールを読んでいる時、兄とのたくさんの思い出が蘇ってきた。


「分かった、会いに行く。

 死ぬのはやめる。

 今すぐ会いに行く、

 お兄ちゃんはどこにいるんだ?」


「お前の会社の近くのファミレス」


 このメールを見た時、俺の足は勝手に動き出した。

 しかし、近くに警察がいた。

「おいお前、止まれ!」

 警察官が叫んだ。しかし、俺は全く聞いていなかった。

「お兄ちゃん、お兄ちゃん、ごめん!」

 そして、俺はファミレスに入ろうとした。

「お兄ちゃん!」

 目には座って待っている兄の姿が見えた。

「次郎!」

 兄はこっち側へと来た。俺も近づこうとしたが、警察官に抑えられているため、うまく近づけなかった。

「お兄ちゃん、心配させてごめん!お兄ちゃん、いままでありがとう!」

「うるせー、迷惑だろ。それに、いままでありがとうって、ずっと会えないわけじゃないんだから。」

「ありがとう、本当にありがとう!」

 気づけば、二人とも涙を流していた。




 すべては、一つの動画から始まった物語である。

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