第3話 死んだ友達
「う~ん、なかなか難しいなぁ…」
ミステリー好きの翼は、相変わらず自分の家で失踪事件について考えていた。
この事件に夢中になりすぎて、時間が経つのが速く感じた。
「もう暗くなってきたし、晩御飯でも作るか」
そう言いながら、冷蔵庫を開けた。
「何もないなあ…、今日の晩御飯はどうしよう…、やっぱり外食にするか。」
僕の中学校時代からの友達である、谷川を呼んで一緒にご飯を食べようと考えていた。
谷川とは8か月ほど会っていないので、谷川の顔を見るのは久しぶりだった。
「よっ、谷川。お前変わってないな」
「ああ、お前もな」
こんな会話を交わした後、居酒屋へ向かった。
「じゃあ、またな」
もう11時か。
「帰って寝よう」
そんなことを考えていた。そして、その日はぐっすりと眠った。
翌朝、「昨日の夜楽しかったね」と谷川にLINEを送った。
30分経っても、既読はつかなかった。
1時間経っても、5時間経っても、半日経っても、1日経っても。
少し谷川のことが心配になったので、谷川に電話をかけてみた。
電話にも出なかった。
谷川の友達も、谷川と連絡が取れないということが分かった。さらに、家族まで連絡が取れないらしい。
さすがに心配になった。
僕は谷川の住所を知ってるから、インターホンを鳴らした。
「ピーンポーン」
インターホンの音が鳴った。僕は不安の気持ちでいっぱいだった。だから、インターホンの音がいつもより心に響いた。
何回押しても返事がない。
まさか、と思いドアノブに手をかけた。
「鍵が開いてる…」
谷川は規則などは必ず守るしっかり者なのに、外出するときに鍵をかけ忘れるのか?もし忘れてもすぐ気づくだろう。
恐る恐る、ドアの隙間から部屋をのぞいた。
いない。
僕は谷川の家に音を立てずに入った。
谷川の家に入るのは初めてだった。
「これって不法侵入になるのかな。でも谷川なら許してくれるか」
ふと横を見たら、わずかな血痕が残っていた。
「クローゼットの扉に血が…」
僕はクローゼットを開けた。
ゴトン。
谷川の死体が落ちて来た。
「は!?…」
僕はどうすればいいのか、分からなかった。
その場ですぐに警察を呼ぶことができなかった。そのことは今でも後悔している。
それから数時間後、僕はテレビでニュースをやっているのを見た。
「××区のマンションで遺体が発見されました。」
僕は、ため息をついてしまった。
「なんで、谷川が…」
訳が分からなかった。僕には、友達が少なかった。しかし、谷川とは、同じミステリー好きということもあり、友達になることができたのだ。
「犯人は、現在警察が捜査をしています。」
アナウンサーがそう言うと、
「犯人に絶対あってやる。」
という感情がなぜか湧き出て来た。
何か情報を得られないかとスマホを見ていると、一つのニュース記事が引っ掛かった。
「容疑者は高崎次郎」
たかさき…、聞いたことあるな。
少し考えこんだ。
「高崎次郎!僕の前の会社の同僚だ!確か、連絡先に載っていたはず」
そう思い、僕は連絡帳を見た。そこには、高崎次郎の名前が載っていた。
「やっぱり!」
しかし、気になったのは、高崎次郎の下に載っている人物だった。
「嘘だろ…」
そこには、高崎太郎、僕の上司、ミステリー好きの上司だった。
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