第57話 パピプペポ(手話)

 前回の続きで、口形についての説明です。

 今回は、前回の最後に予告しましたが『2.感情を乗せやすく、わかりやすくする補助的な役割』についてです。

 

 一般的に『パピプペポ』と言われています。なぜかというと『パピプペポ』の5つの口形(口を特定の形にする)を使い、表現をするからです。

 

 例えば『パ』だと、『終了(完了)』という手話に合わせて、口形を『パ』の形にするわけです。

 え? 手話だけで良いんじゃないの?

 確かに『終了』という手話はわかります。ですが、どんな気持ちで言っているのか、『パピプペポ』で表現(表情や動きを合わせる)できるのです。また、組み合わせる手話によっては、意味合いが変わったりもします。


 そもそも手話自体、意味は『』と断定するモノより、『モノ』という、ボンヤリしたモノが多いように思います。

 幅があるというのでしょうか?


 では、実際にパピプペポが、どういう使われ方をしているか、ご紹介します。


【パ】

・どうしょうもない

・しまった(失敗)

・無理

・間に合わない

・頭にきた

・対立(敵対、意見の対立)

・終わった

・後悔

・ダメになる


【ピ】

・思考停止

・あきる(つまらない)

・下らない

・なあんだ…

・そうなの?

・むかつく、裏切り

・少ない

・はまってる(すごく好き)


【プ】

・必要ない

・朝飯前(簡単)

・コミュニケーションのズレ

・通じない

・消える

・笑う



【ペ】

・少ない

・食事がまずい

・~じゃない?

・読めない(無理)→例:食べれない=「食べる」+「読めない(無理)」(上級レベルの会話で使う)

・不味い


【ポ】

・どうやって(なぜそうなるのか)

・ついでに

・もうけ(得した)

・成功

・助かった~


 相手との距離が、少しくらいあっても、口形が単純だとわかりやすいですね。

 あと、両手を使う手話などを、片手で表現する人がわりといます。特に、片手に何かを持っていたり、何かをやりながらとかだと。

 そんなときには、片手だけで表現するのですが、口形は手話の『内容』の目安にもなります。

 もちろん、文脈がら読み取ることが大事ではあるのですが。

 誰もが、わかりやすく、ゆっくりと、文章を略すことなく、手話をしてくれるとは限りません。

 手話通訳の人が、連続で長時間の読み取りをしないのは、それだけ集中力が必要だからなんです。


 ろう者の方は、普通にやっているのに、なぜ手話通訳には休憩が必要なのでしょうか?

 それは、次回にしたいと思います。

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