第56話 口形(手話)

 手話は、手、指、腕などを使うことは、一般的に知られていると思います。

 他にも肩をすぼめたり、開いたり。頷きなどもあります。

 なかでも重要なのは『顔』です。


 表情、眼の開き具合、眉の上げ下げ。それだけで、意味が逆になる場合もあります。

 なかでも習得が困難なのが、いわゆる『パピプペポ』と言われているものです。


 日本の手話は、大きく分けて2つ。『日本手話』と『日本語対応手話』があます。

『日本手話』は、独自の文法の他、主に上半身を使った副助詞的な表現もあります。

『日本語対応手話』は、その名前が示す通り、日本語に対応した手話を表現するもので、文法などは、通常の日本語と同じです。また、表現は手や指のみで行う人が多いですね。


 また『日本手話』と『日本語対応手話』の大きな違いとしてあげられているのが、『話ながら手話が出来るか』です。

『日本語対応手話』は、話しながら手話が出来ます。

 ですが『日本手話』はできません。なぜかといえば、日本手話は文法が違う以外にも、『口形こうけい』があるからです。


 手話をする方の手ではなく、をよく見てみると、何か言っている時があります。

 手話でやっている言葉を、話しているものではない場合。声を出さずに、口を動かしている場合は、表現方法の1つである『口形』かもしれません。

『口形』は、その漢字が表すように、『口の形』で表すものです。手話の補助的なものとして使われていますが、これを使えると表現の幅が広がります。

 けれど、かなり慣れた方でないと、『読み取る』のも『使う』のも困難なことに、間違いありません。

 

 口形には、大きく2つの種類があります。


1.手話で表しているモノが『何』かを表す。

2.感情を乗せやすく、わかりやすくする補助的な役割。


 今回は『1.手話で表しているモノが『何』かを表す。』を説明します。


【パターン1】

 例えば『好き』という手話があります。この手話は『希望(欲しい)』と同じ動作です。

 どうやって見分けるのかというと、希望の場合は、手話をしながら口を「きぼう」と動かします。音声を出さず、口を動かすだけです。

 好きの場合は、手話をしながら口を「すき」と動かすのです。


【パターン2】

 複雑な組合せの手話、専門用語、ややっこしい指文字、新しい手話など、1度見ただけでは理解が難しいものは、その手話をしながら、口を動かします。

 例えば「ヤバイ」という手話は、左右の手でアルファベットの『Y』を作って重ねます。ですが、これは若い人が流行らせた手話なので、年配の人は知りません。

 なので手話でヤバイをやりながら「ヤバイ」と口を動かします。



 2.感情を乗せやすく、わかりやすくする補助的な役割。

 については、次回にしたいと思います。

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