第21話 字幕
ろう者の方は、聞こえる人より、情報を得る機会が少ないと言います。
なぜでしょう?
それは単純に、情報を得るモノが、ろう者には限られているからです。
みなさんが情報を得る場合、どこから手に入れますか?
テレビ、インターネット、YouTube、本、人から……と、だいたいこんなものでしょう。
「ろう者だって、全部使えるじゃないか」と思われるかもしれません。実際に使える人もいます。ですが『使えない人』もいるのです。
よく誤解される事で、聞こえなくても『字幕が付いていればわかる』のではないか? と。
全く間違いではありません。ある程度、聴者としての経験をしてから、聴力を失った方には、とても役に立っていると思います。ただ聞こえないのが『先天的』であったり、ろう学校を主にして勉強していた方は、文章が苦手な方もいます。
ご存じの方もいるかと思いますが、『日本語』と『日本手話』は、文章の組み立て方が全く違うのです。
例えば
日本語『3階以上でカウンターキッチン、全体が見渡せる間取りが良い』
前の文章を手話で表すと、
日本手話『ある 3階 以上 必要 キッチン カウンター 向こう 部屋 見渡す 希望』
となります。
日本手話を第一言語としている人が、日本語の文章を理解するのが困難なことが、わかっていただけたでしょうか?
ろう者のかたには、本を苦手とする方が多いと聞きます。
逆に私が『日本手話の文章』を、本にした物(ありませんが)を読んで理解しろといわれたら、困惑することでしょう。
テレビを見ていて
「字幕があるのに、手話通訳まであるなんて、無意味じゃない?」
と思われていた方は多いかもしれません。実はこれも、こういう理由からなのです。
昔は字幕が無くて、手話のできる聴者に、テレビの横で同時通訳してもらったとか。
映像を見て内容を想像していたけど、後に想像と違うことがわかって、ショックを受けたとか。いろいろとエピソードを聞いたりもします。
現在では、テレビやYouTubeでも、字幕の付いたものが多く、『日本語が得意な方には』だいぶ見やすくなったのではないでしょうか?
ただ、生放送に関しては、全く字幕が追いついていないのが現状ですね。10~30秒程度ズレて字幕が出ることも、珍しくありません。
逆に映画は、かなり進化しました。
『バリアフリー映画』という言葉を、聞いたことはありますか?
ろう者や盲の方にも楽しめるように、工夫されたシステムが使える映画館です。
専用のメガネやイヤホンなどを使いますが、劇場で借りることも出来ます(メーカーから買うことも出来ます)から、安心してください。
バリアフリー字幕は、普通の字幕と違います。レンズに字幕や、セリフ以外の音声の状況説明も映る仕組みになっています。音楽、効果音、環境音、音情報など。
盲のかた用のものは、同じ事を音声で知らせてくれます。場合によっては、実際に目で見ていても、見逃すようなことまで説明してくれるようです。
ろう者と聴者が一緒に楽しめるって、素敵ですよね。
バリアフリー映画も、かなり増えては来ました。ただ、対応していない作品の方が、多いのが現実です。
バリアフリー映画をご利用の際には、前もって調べていただくことと、専用のメガネが必要なときは予約をオススメします。
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